ドレイモンド・グリーン

乱闘を止めに入ったゴベアを襲い、背後から首を絞める

ドレイモンド・グリーンが仲間思いの熱血漢であることはよく知られている。ただ、その闘争心の強さがしばしば悪い方向に働くことも周知の事実だ。スポーツの世界では、ライバル意識や競争心がプレーのレベルを上げ、観客を熱狂させる。しかし、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、今回のグリーンの行為は愚行としか言えない。

現地11月14日に行われたウォリアーズvsティンバーウルブズの試合開始直後、クレイ・トンプソンとジェイデン・マクダニエルズが衝突してユニフォームを引っ張り合った。これを制止しようとしたルディ・ゴベアの首に背後から腕を回して引きずる。ゴベアも荒っぽい選手ではあるが、今回はあくまで騒動を止めに回る側。その彼の首を腕で締める行為はやりすぎで、ウォリアーズの指揮官スティーブ・カーによる「クレイを助けようとしただけ」という擁護には無理がある。

結局のところ、ゴベアとグリーンの間には以前から因縁があり、グリーンは最初からゴベアを狙って蛮行に及んだのだろう。2人はかつて最優秀守備選手賞を争った間柄で、全く異なるプレースタイルではあるが、それだけに「どちらが優れているか」という議論があった。グリーンの時に苛烈すぎるライバル意識は、この時からゴベアに向けられていた。

2019年のNBAオールスターに落選した時、ゴベアはショックのあまり涙を流した。この時の彼をグリーンはSNSでからかっている。最近ではグリーンがチームメートのジョーダン・プールを殴った際、ゴベアは「自信がないヤツは騒ぎを起こす」とSNSに投稿。その半年後、ゴベアがカイル・アンダーソンに殴りかかる事件が起こると、待ってましたとばかりにグリーンはこう投稿した。「自信がないヤツは騒ぎを起こす」

両者は互いにライバル意識を持っており、グリーンのそれは『嫌悪感』と呼ぶほどにエスカレートしていた。今回の事件は試合開始2分足らずで起きたが、それまでのたった数ポゼッションの間に、ポジション争いで2人は必要以上に激しくやり合っている。特に因縁のない2人であれば、こんなことは起きない。

ゴベアはグリーンの行為を「くだらない振る舞い」と呼び、「彼はステフがいない試合でプレーしたくない。だから退場するためなら何でもする」と言う。

リーグはグリーンに5試合の出場停止を科した。かつてNBAファイナルで出場停止処分を受けて優勝を逃し、昨シーズンもプールを殴打したことでチームの結束を崩してチームに迷惑をかけた。今回、彼はコメントをしていないが、メディアの前で話す機会があるとすれば自らの非を全面的に受け入れ、プレーで償うと語るだろう。それはプールを殴った後の発言と同じ。おそらく彼が振る舞いをあらためることはなく、自分の非を認めて出場停止を受け、罰金を払い、世間の批判を浴びながら、彼は自分らしく戦い続ける。彼はそうやってキャリアを築いてきた。それが正しいのか正しくないのかは、受け止める側の判断次第だ。