マイク・コンリー

ティンバーウルブズは戦力が噛み合い5連勝

現地11月10日のスパーズ戦、マイク・コンリーは彼にしては珍しく4つのターンオーバーを記録した。開幕から7試合でターンオーバーはわずか1、その間のアシストは20を記録していたのだから、本当に珍しい不調だった。それでもコンリーはゲームをコントロールし続け、ティンバーウルブズを117-110の勝利へと導いた。敵地での勝利は今シーズン初。これでチームは5連勝で、通算成績を6勝2敗としている。

ウルブズでは若きエースのアンソニー・エドワーズが『チームの顔』となっており、ルディ・ゴベアとカール・アンソニー・タウンズを含めた『ビッグ3』が話題となることが多い。それでも、この『ビッグ3』が機能しているのはコンリーのお膳立てあってのことだ。

昨シーズン前半にポイントガードを務めたディアンジェロ・ラッセルは、ゴベアの不器用さを許容できなかった。だがジャズでゴベアと一緒に長くプレーしているコンリーは、長所と短所がはっきりしているゴベアの良いところを探し、それを引き出そうとする。それはゴベアに限らない。エドワーズもジェイデン・マクダニエルズも、コンリーの統率下で長所を存分に発揮している。

「昨シーズンが終わった時、何人かケガ人を出していなければ僕たちはどこまで行けただろうかと考えた。すごくチャンスがあったはずなんだ」とコンリーは今シーズン始動の際に語っている。「だから、ほぼ同じメンバーでもう一度チャレンジできることに興奮している」

昨シーズン開幕時点でのウルブズでは、大型トレードで獲得したゴベアに注目が集まったが、期待通りの活躍ができず批判された。チームとしてのケミストリーが仕上がり、戦う体勢が整う前にタウンズが戦線離脱。何とかプレーオフにはたどり着いたものの、ここでもケガ人続出で戦える状態ではなく、後にNBA王者となるナゲッツに1勝4敗で敗れてシーズンを終えた。

ファーストラウンド敗退では大型補強の意味がなく、やはりゴベアには批判が集まった。だがコンリーは、古くからの仲間をこう擁護する。「彼にとっては自分が新しいチームで何を要求され、何ができるのか、そのすり合わせを繰り返す1年だった。それは簡単なことじゃない。僕も何度か移籍を経験したけど、その2つが上手く噛み合うまでは苦労するものだ。でも今はルディはストレスなくプレーできているし、チームも彼に良い感触を持っている。だから、すべてはここから始まると考えたい」

昨シーズンはコンリーも批判を浴びた。コンリー自身ではなく、ディアンジェロ・ラッセルとコンリーをトレードする判断に対しての批判だ。ラッセルがレイカーズの先発ポイントガードへと『栄転』していったのに対し、代わりに獲得したのは全盛期を過ぎた36歳のベテランなのだから、ファンの失望は分からなくもない。だが、コンリーはゴベアを復活に導き、チームを上昇気流に乗せた。それがなければ、今オフにウルブズは2年連続の大改造に踏み切り、結果として再び迷走していたかもしれない。

指揮官クリス・フィンチのコンリーへの信頼は厚い。「それまでの報道を見ていたら、マイクはケガばかりしていて、プチプチで梱包されてここに到着するのかと思った」とフィンチはジョークを飛ばす。「でもそうじゃないのはみんな分かっている。リーダーシップには非の打ちどころがなく、チーム全員にとっての良き兄貴分だ。試合ではチームがどのタイミングで何をすべきか、すべてを把握している。チームの全員にとって、マイクがもたらすものはかけがえがないんだ」

コンリー自身も昨シーズン途中にジャズからウルブズへの移籍を経験した。彼がウルブズへのフィットに苦労したようには見えないが、プレーメーカーとしてチームメートの性格やプレーの好みを知り、頭の中で整理するのはある程度の時間を要するのだろう。だが、それはもう完了している。そして今、コンリーはチームを掌握し、正しい方向へと導こうとしている。