ブレイク・グリフィン

セルティックスのオファーを断り、チャンスを待つ

ブレイク・グリフィンは34歳になった。かつてのクリッパーズのスター選手は、『ロブ・シティ』と呼ばれたチームの解体に伴い2018年にピストンズへと移籍。ここでもチームは上手くいかず、ネッツからセルティックスへと渡り歩いた。ピストンズでは曲りなりにもエースだったが、ネッツでは『ビッグ3』をサポートする役割を受け入れた。

セルティックスで過ごした昨シーズンは41試合に出場した。プレータイム13.9分、4.1得点、3.8リバウンドはすべてキャリア最低の数字で、ド派手なダンクを連発する『ロブ・シティ』の顔役だった頃の威光は消え失せた。

それでもセルティックスでの評判は非常に良く、ロッカールームを盛り上げ、若手とベテラン、選手とコーチを繋ぐ『大人の役割』を演じている。ヘッドコーチのジョー・マズーラは「どんな状況であれ真摯にバスケに取り組む、チーム全員のお手本」と彼を評し、プレータイムこそ与えなくても事あるごとにロッカールームのリーダーとしての彼の働きに触れたし、特に若手の多くは彼を慕った。

セルティックスのブラッド・スティーブンス球団社長は、グリフィンに今シーズンの契約もオファーしたと明かしている。プレータイムの保証はなく、当時まだトレードされていなかった)グラント・ウィリアムズを優先して起用する前提だが、「それでも君にはセルティックスにいてほしい」とのスティーブンス球団社長の誘いに、グリフィンは乗らなかった。

グリフィンは引退を検討しているとも報じられたが、その意向を表明したわけではない。彼のような年齢を重ねた実績ある選手は、時に開幕時点のロスターに入っていなくても、シーズン途中で彼を本当に必要とするクラブに行く方が良いケースが多い。自分のキャリアが終わりに近付いていることを感じながらも、グリフィンは自分の納得いく仕事をしたいと願っているのだろう。

身体能力が衰えたにもかかわらずワガママな『かつてのスター選手』はどのチームも欲しがらないが、セルティックスでの姿を見れば、彼を欲しがるチームはいくつか出てくるだろう。

そして今、新たな可能性として生まれたのがクリッパーズへの復帰だ。ジェームズ・ハーデンのトレードで複数の選手を放出したことで、ロスターには2つの空きがある。チームが一番に必要としているのは攻守にエネルギー全開でスター選手を支えるロールプレーヤーで、そこにグリフィンは当てはまらないが、その次に必要なのはチームを結束させ、チームが不調な時に雰囲気を盛り上げ、前進する気力を与えられるベテランであり、グリフィンはこれに当てはまる。

グリフィンが再びクリッパーズのユニフォームを着る──すなわち『ロブ・シティ』解体という衝撃的なトレードで壊れたクリッパーズとグリフィンの関係修復が実現するとなれば、ファンは大喜びするだろう。

エースとしての活躍は望めなくても、短いプレータイムであればグリフィンはまだ働ける。そんな状況で、パワーフォワードの2番手となるメイソン・プラムリーが膝のケガで約2か月の戦線離脱となった。NBAで忘れられつつあるグリフィンだが、その行き先がクリッパーズとなれば大きな話題となるのは間違いない。