「一生懸命プレーして、試合を楽しむだけ」
マジックはウェンデル・カーターJr.が左手を骨折、マーケル・フルツが膝の痛みと、先発2人を欠いてレイカーズと対戦した。レブロン・ジェームズが24得点9リバウンド5アシスト、アンソニー・デイビスが28得点13リバウンド3アシスト7ブロックとスターパワーを遺憾なく発揮したにもかかわらず、マジックが終始圧倒して120-101の完勝を収められたのは、個性が一つにまとまるチーム力があったからだ。
さらに言えば、一つのシュート、一つのリバウンド、一つのルーズボールに対する執着心が、レイカーズとマジックでは大きな差があった。マジックはオフェンスリバウンドを19本取り、セカンドチャンスポイント36点につなげた。ファストブレイクポイントでも15-5とマジックが圧倒。レイカーズの指揮官ダービン・ハムは、今後への戒めも込めて「エネルギーと努力に差があった。努力は教えるものじゃない」と厳しいコメントをチームに向けた。
マジックのヘッドコーチ、ジャマール・モズリーは「ウチは守備のチームなんだ。このチームが勝つチャンスを得るために必要なのは、シュートが決まっても決まらなくても集中して守備に入ること。今日は選手たちが見事に表現してくれたと思う」と語る。ただ、集中してディフェンスしているのはこの試合に限らない。まだ6試合を消化しただけだが、ディフェンスレーティングでマジックはNBA全30チーム中2位につけている。
マジックで先発の穴を埋めたのは、ルーキーのアンソニー・ブラックとゴガ・ビタゼ。いずれもここまでプレータイムのほとんどなかった2人が、マジックの『エネルギーと努力』を象徴した。ビタゼはティップオフ直後にデイビス相手にブロックショットを決めてリズムに乗り、10得点10リバウンド5ブロックを記録。デイビスにスタッツではかなわないとしても、インパクトは十分だった。
ブラックはコール・アンソニーと2ガードを組んでの出場。ハンドラーの役割はアンソニーに任せ、精力的なオフボールの動きでレイカーズの緩慢な守備を切り裂き、テンポ良く放つシュートを決めていく。ブラックにとってはこれがNBA4試合目。ここまでの3試合は出場時間が伸びない中で効果的なプレーを見せてきたが、先発して30分プレーしても十分やれることを示した。11得点4リバウンド2アシスト1スティール。ディフェンスでもサイズと運動量を生かして活躍し、出場していた間の得失点差でゲームハイの+32を記録している。
「ディフェンスから良い流れを作り、トランジションでイージーシュートのチャンスを作ることを意識していた。得点が伸びたのは僕がオープンな瞬間を見逃さなかったチームメートのおかげだし、コーチが良いポジションに僕を置いてくれたからだと思う」とブラックは言う。
レブロンのような『NBAの伝説』とマッチアップしても彼は臆さない。「一生懸命プレーして、試合を楽しむだけなんだ。バスケは楽しいものだし、それを最高のレベルでプレーして生活できるなんて恵まれているよね。だから僕は目一杯楽しみ、全力を尽くすことだけを心掛けている」
まだシーズンは始まったばかりだが、レイカーズ相手の快勝を含む4勝2敗は、長らく勝てなかった今までのマジックとは一味違うという印象を与える。ここからマーベリックス、ホークス、バックスと強豪との試合が続くが、すべてホームゲームであることがマジックに追い風となるだろう。若いチームだけに、ここで一定の結果を残すことができれば、大きな自信と勢いに繋がるはずだ。