クリス・ポール&ステフィン・カリー

ステフィン・カリーも称賛「より快適になるだけだ」

クリス・ポールはウォリアーズの完成されたバスケに自分のプレースタイルをどう組み込むか、明確なアイデアを持っている。「スピーディーなプレーをしながらゲームを操る。僕が考えるのは今シーズンのウォリアーズがやるべきバスケであって、過去にこのチームがどうしてきたかじゃない。今このチームのために自分に何ができるかだ」

サンズとの開幕戦、ウォリアーズもクリス・ポールも前半の出来は悪かった。チームのフィールドゴール成功率は31.0%で、3ポイントシュート成功率は26.1%。ポールはターンオーバーをせず6アシストを記録していたものの、6本のシュートすべてを外して得点はフリースローによる2だけ。そして46-61と15点のビハインドを背負っていた。

それでもハーフタイムを経て、チームもポールもアジャストする。第3クォーター開始からポールとステフィン・カリーの2ガードが試合を支配し、7分間で27-5の怒涛のラン。この途中、ポールはユスフ・ヌルキッチをスピードでかわしての逆転バスケット・カウントというビッグプレーでサンフランシスコの観客の心をつかむ。さらにデビン・ブッカーの荒っぽいディフェンスに吹き飛ばされながら、すぐに立ち上がって戦う気概を見せると、観客から「CP3!」コールが沸き起こった。

ウォリアーズにとってのクリス・ポールは、クリッパーズ、ロケッツ、サンズの司令塔として立ちはだかってきた『仇敵』である。ウォリアーズの選手たちは過去を気にせず仲間として迎え入れたが、ファン感情はそう簡単ではない──はずだったが、開幕戦の第3クォーター途中でファンは彼をチームの一員と認めた。このクォーター、猛然と攻めたポールは4本中3本のシュート成功を含む11得点を記録。チームは40-19のビッグクォーターを作って試合をひっくり返した。

最終的には、彼の後釜としてポイントガードに収まったブッカーがクラッチアシストを連発し、サンズに敗れるのだが、ドレイモンド・グリーンが欠場し、カリーがファウルトラブルに苦しんだにもかかわらず最後まで競ることができた。クリス・ポールは敗れてもなお、ウォリアーズでのデビュー戦で十分すぎるほどの手応えを得た。

「ステフやクレイ(トンプソン)のようなシュートの名手と一緒だと、試合を重ねるごとに自分でアグレッシブに行ったり、バランスを取ったりを考えるのが心地良くなっていく。過剰なほどにアンセルフィッシュな選手が多く、それでもお互いに感覚をつかみつつある。そのことに興奮しているよ」と彼は言う。

カリーも「誰がイニシアチブを取るとしても、チームとしてはより快適になるだけだ」と、クリス・ポールと組むメリットを感じている。「誰がボールを持つか次第でセットを組める。今はすごく流動的だけど、2人ともプレーのやり方は分かっているし、どちらがボールを持っても正しい判断ができるという信頼がある。それがスムーズにやれている理由だと思う」

ホームで悔しい敗戦にはなったが、まだシーズンは始まったばかり。来るべき今シーズンのウォリアーズの完成形をイメージしながら、クリス・ポールは正しいプレー選択を重ねていく。