京都ハンナリーズ

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

それぞれが自分の役割を果たす戦いで北海道を破る

京都ハンナリーズはレバンガ北海道とのアウェーゲームで連勝した。この連戦、京都は綿貫瞬に続いて伊藤達哉もケガで離脱とポイントガードを2人欠き、3番手の岸田篤生を先発に据えることに。特別指定の玉木祥護と鶴田美勇士も遠征には不参加で、駒不足で臨まざるを得なかった。

岸田は大阪体育大学から昨夏に加入したルーキーで、意表を突くパスで攻撃にアクセントを加えるガードだが、ここまでは結果を出せずプレータイムも伸びなかった。それでも昨日の1試合目ではリスクの高いパスを封印してボールを運ぶことを優先。北海道は多嶋朝飛や松島良豪が盛んに煽ってミスを誘おうとするも、落ち着いてボールを運んだ。さらに今日の2試合目では自らアタックに行ける機会では迷わず切り込む積極性も見せた。こうして岸田がオフェンスの流れを作り出すと、相手を切り崩す起点はジュリアン・マブンガが担い、チームがうまく回りだす。

一方の北海道は試合開始早々のショットクロックの設定ミスで、最初の攻撃機会で決めたはずの3ポイントシュートを取り消されて肩透かしを食らい、約1カ月ぶりに復帰したエースのマーク・トラソリーニもゲーム勘が戻っていない状況。デイビッド・ドブラスのファウルトラブルも重なり、苦戦を強いられた。

第2クォーター、第3クォーターと、外国籍選手が1人しかコートにいない時間帯に、野口大介がボールへの執着心を、折茂武彦がワンチャンスをモノにする勝負強さを見せて反撃を試みるも、なかなか京都を崩すには至らず。逆にマブンガとデイヴィッド・サイモンの2メンゲームを止められず、第3クォーター残り1分半には34-53と19点のビハインドを背負った。

レバンガ北海道

「やるべきことを全員が同じ意識でやっていかなければ」

それでも少ない人数でローテーションを回さざるを得ない京都は足が止まる。ドブラスが自らのシュートのこぼれ球を押し込み、この日の初得点をようやく挙げると、野口の連続得点で41-53まで押し戻して最終クォーターを迎える。

終盤も追いかける北海道に勢いがある状況は変わらず。残り5分半にはドブラスのバスケット・カウントで4点差に、残り1分13秒ではドブラスのフリースロー2本が決まり3点差と京都を追い詰めるが、逆転の期待に盛り上がる会場の雰囲気に影響されることなく、京都は落ち着きを保つ。残り1分でサイモンが難しいプルアップジャンパーを沈めて突き放すと、ファウルゲームでのフリースロー8本をすべて成功させて最終スコア76-69で逃げ切った。

北海道は4日間でのホームゲーム3連戦でまさかの全敗。シーズンは折り返し地点をすぎたばかりだが、8勝27敗は降格危機を意識しなければならない成績だ。15得点と気を吐いた野口は「ベンチで感じていたのは、コートに出ている選手たちに元気がないところ。自分が出ることになれば積極的に狙っていこうと思っていた」と語る。ドブラスも「野口選手のようなプレーを全員が行なっていかなければならない」とコメント。「チームが良くないときは、言い訳を探したり、良くない循環になってしまいますが、まずは自分たちで何をしなければならないかを見つめ直して、この状況が改善されるよう頑張っていきたい」

指揮官交代でチームの成熟が遅れたことに加え、ケガ人も出た。それでもドブラスの言うように「言い訳を探さない」ことが大事。内海知秀ヘッドコーチは「戦略戦術のところももちろん大事ですが、一番はやるべきことを全員が同じ意識でやっていかなければ」と再起を期す。

逆に京都にとっては大きな大きな連勝。言い訳にできる要素はいくらでもあったが、コートにいるメンバーがそれぞれの仕事を全力でこなすことで、難しい状況での連勝を勝ち取った。年末年始の5連敗を取り戻し、18勝17敗とこれで貯金1。来週はミッドウィークに琉球、週末に川崎とチームの真価が問われる強豪対決が待っている。

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