安藤周人

今シーズンはスポットシューターとしての役割を担う

10月14日のホーム開幕戦で宇都宮ブレックスを75-60で下したアルバルク東京だったが、翌日15日の第2戦は70-71と惜敗。9-17という第1クォーターの出遅れが後々まで響いた内容だった。安藤周人は「内容の良くない試合でした」と振り返った。

「前半、自分たちのエナジーが足りなかったというか、相手のプレッシャーに少し引いてしまった部分がありました。後半はそこは修正できたと思いますけど、ミーティングで出た『ターンオーバーからの失点を減らそう』『ファーストブレイクポイントをやられないようにしよう』という点が遂行できなかった。そこをしっかりと抑えられていれば、昨日と同様に相手を60点台に抑えられたと思います」

第1節の仙台89ERS戦はスタート起用だった安藤は、今節はベンチスタート。3ポイントシュート3本を含む13得点でライアン・ロシターに次ぐ得点を挙げた。持ち味である3ポイントシュートの試投は両チーム最多の8本。追い上げをはかっていた第3クォーター終盤、2連続で沈めた3ポイントシュートはチームに大きな勢いを与えた。

3ポイントシュートを多投した関する意識について質問を受けた安藤は、次のようにコメントしている。「去年よりもパーセントを上げてないといけないという意識はもちろんありますが、去年から自分の役割が変わったことも大きいです。レオ(レオナルド・メインデル)や海(テーブス海)が入ってアタックできる選手が増えたことで自分のスポットアップが増えてきているので、そのシュートの確率をもっと上げないといけないと思っています」。

スポットアップとは、セットプレーによって打つ場所(スポット)を指定されたシュートのこと。安藤はもともと3ポイントシュートとペイントアタックを持ち味とするプレーヤーで、昨シーズンはケガで離脱した田中大貴にかわってハンドラーも担ったが、今シーズンはシューターとしての役割を求められており、それゆえに3ポイントシュートの試投と精度を高める意識が強まっているというわけだ。

安藤は「今日も決めなければいけないシュートを12本外しているので、そこを確率よく決められるようにならないといけないません」と反省を口にし、同時に問われた「パリ五輪代表入りを見据えて」という点に関しては「今はそこはあまり考えず、まずは自分とチームと向き合って今シーズンを戦っていけたら」と話している。

アルバルク東京

全員が劣勢にひるむことのないマインドを備えるチーム

リトアニア出身のデイニアス・アドマイティス氏がヘッドコーチに就任して2シーズン目。安藤は昨年から在籍する選手たちについては、アドマイティスヘッドコーチのやり方やフィロソフィーがかなり浸透してきていると説明し、「僕らもコーチを信頼しているし、コーチも選手を信頼してくれているのがわかる」と話す。

アドマイティスヘッドコーチが常日頃大切だと説き続けているという、選手間のコミュニケーションの質も昨シーズンより高まっているという。安藤は9点リードを奪われた第3クォーター序盤を例に挙げ、次のように話した。

「去年と違うのは、お互いを高め合うコミュニケーションが絶えないところ。今年は各々がお互い言いたいことをしっかり言い合って、やるべきことをやれれば勝てると思いながらやっています。去年だったらあそこで雰囲気が悪くなっていたと思うけれど、今年はああいう場面でもあまり点数を気にしないというか、やるべきことをやらないとっていうマインドになっていました。劣勢になっても折れない心を全員が持っているという点はチームとして変わったかなと思います」

連覇を達成した2018-19シーズンから在籍する選手は、バランスキー・ザックと当時特別指定選手だった平岩玄のみとなった。しかし、安藤の一連のコメントには、A東京が王座奪還に向けた土台を確実に積み上げていることを実感させられた。「まだシーズンは始まったばかり。頭を下げることなく次の試合に向けていい準備ができたらなと思います」と話す安藤の視線は、すでに21日、22日のファイティングイーグルス名古屋戦に向いていた。