デビン・ブッカー

サンズ一筋で9シーズン目、『チームの顔』に

デビン・ブッカーにケビン・デュラント、ブラッドリー・ビールの『ビッグ3』が誕生したサンズは、これを固める選手たちの好調ぶりもあって、良い雰囲気で開幕を迎えようとしている。

2020-21シーズンにNBAファイナル進出を果たした後の2シーズンはいずれもカンファレンスセミファイナル止まり。オーナーチェンジによる後押しもあってチームは大きなテコ入れの連続で、NBAファイナルを経験したメンバーはデビン・ブッカーとイシュ・ウェインライトしか残っていない。

『継続性』をハナから重視していない今のサンズにおいて、唯一それを体現するのがデビン・ブッカーだ。2015年のNBAドラフト1巡目13位で指名され、2年目からエースとして活躍。キャリア前半はどれだけ彼が得点を挙げてもチームの勝ちに繋がらない苦しい時期だったが、今は『ビッグ3』でも生え抜きの彼がチームの顔となっている。

このオフに退団したクリス・ポールやディアンドレ・エイトン、キャメロン・ペインについてブッカーはこう語る。「この仕事をやっていて最も難しいのがトレードだけど、彼らはサンズの歴史的な時期の一部であり続ける。ディアンドレとは最後に握手をしてお別れしたけど、新しいチャンスに向けたエネルギーを感じた。みんな新しいチームでも心地良く落ち着き、成長してほしい」

そして彼自身もページをめくり、サンズの新たな章へと足を踏み入れる。「新しい選手とプレーするのはいつだって楽しい」と言う彼はこう続ける。「昨シーズンを振り返ると、ナゲッツの戦いぶりを軽視すべきじゃない。ナゲッツは一緒にプレーした時間が長く、なおかつプレーオフを通してハードワークを徹底していた。それがトップに立てた理由だ。僕らはナゲッツに追い付き、王座から追い落とさなきゃいけない」

そのチャレンジはすでに始まっている。ブッカーを含めた『ビッグ3』はプレシーズンゲームでそれほどプレーしていないが、それぞれキレのある動きを見せている。残るスタメン2名になるであろうジョシュ・オコーギーとユフス・ヌルキッチはもちろん、セカンドユニットの選手たちも揃って好調。ケミストリーが少しずつ向上していることを試合の中で示しており、ブッカーのプレータイムが少なければエリック・ゴードンが、グレイソン・アレンが休めばジョーダン・グッドウィンが、渡邊雄太がプレーしなければナシール・リトルがアピールに成功する好循環が生まれており、開幕に向けた準備は概ね順調だ。ロスター枠への生き残り競争は激化しているが、これは該当する選手にとっては過酷でもチームには歓迎すべき状況だ。

優勝候補という呼び声も過大評価ではないという雰囲気が今のサンズにはあり、ブッカーも良い手応えを得ている。「ディフェンスでは大事なところで抑えられているし、オフェンスはまだまだだけど素晴らしい可能性を感じさせるようなシーンはあるよね。僕たちのプレーに限界はない、そう感じさせる試合ができていると思う」