ステップバックからの決勝弾を含め、30得点の大暴れで勝利の立役者に
横浜ビー・コルセアーズがアウェーで京都ハンナリーズと対戦。終盤までもつれる激闘となったが、ここ一番で河村勇輝がステップバックからの3ポイントシュートを沈め、キング開が値千金のブロックショットを決めるなど、攻守でビッグプレーが飛び出した横浜BCが77-75で競り勝った。これで横浜BCは開幕連勝スタートを達成している。
出だしはともにゴール下でのタフな守備が光り、互角の立ち上がりとなったが、横浜BCは河村が3ポイントシュートにドライブからのレイアップ、マークがズレた味方への的確なパスと縦横無尽の活躍で違いを作り出す。第1クォーターだけで11得点、4アシストを記録した河村を軸としたオフェンスで29-17と横浜BCが先手を取る。
第2クォーターに入っても、京都のゴール下を担うチャールズ・ジャクソンのファウルトラブルもあって横浜BCの優位が続く。だが、ハンドラーとして京都を牽引する岡田侑大による緩急をうまく使ったアタックを止められず、終盤に追い上げを食らい、横浜BCの46-42と互角の展開で前半を終えた。
後半になっても白熱の展開は続いていく。横浜BCはシュートの確率が落ちて、オフェンスが停滞したが、森井健太を軸としたセカンドユニットが粘り強く戦うことで、逆転を許しても僅差で食らいついていく。そして僅差のまま。最終クォーター残り5分に河村がコートイン。休養十分な河村は直後にいきなり3ポイントシュート成功で、京都に傾きかけた悪い流れを断ち切る。さらに河村はここから抜群の勝負強さを発揮し、残り55秒には4点差に突き放すステップバックからの3ポイントシュートを決める。その後、2点リードの残り11秒にゴール下でのイージーシュートを許す絶体絶命のピンチを迎えたが、横浜BCはキングが値千金のブロックショットを決めて辛くも逃げ切った。
最終的に河村は25分59秒の出場で30得点6️アシストと見事なパフォーマンスを見せたが、昨日の勝利(81-67)と共にディフェンスを収穫に挙げた。「昨日、僕たちが勝ったことで京都さんはホームで絶対に連敗できないと、今日はよりエナジーを出して試合に臨んできました。そこで第1クォーターを自分たちの流れで終えられたのは良かったと思います。相手が反撃してきたところでも、自分たちの強みであるディフェンスで踏ん張り、失点を抑えられたことは評価できます。ただ、オフェンスはもっと工夫が必要と思っています」
昨シーズンと同じく、今日も勝負どころでの横浜BCは河村にボールを託し、彼は100点満点の回答となるタフショットを沈めた。だが、本人は「ヘッドコーチ、チームメートが終盤でボールに託してくれています。あの場面で打ち切れることが僕の役割であり、チームの流れでもあると思います」と冷静に振り返っている。
代表のゲインズコーチからの助言「やるところ、やらないとこの区別をつける。やり過ぎるのはよくない」
この試合の横浜BCは河村だけでなく、チーム全員が接戦でも落ち着いたプレーを見せていた。心身ともに昨シーズンよりも一回りたくましくなった姿について、河村はこのように手応えを語る。
「オフェンスは日によって波があったりしますが、ディフェンスはしっかりと集中力を保って戦えばほとんど波がないと思います。1試合目、2試合目も試合を通してディフェンスはうまく機能していました。そうなると流れは自分たちに傾きます。相手に流れが行っているように見えても、実は自分たちが主導権を握っている時間帯がこの2試合ともにあったと思います。今日は良い意味で余裕を持ってプレーできました」
もちろん、今シーズンの河村は横浜BCでのタイトル獲得に集中している。だが、彼は一人の選手としてBリーグの枠を超えた世界で戦える選手へと進化することに貪欲だ。そして、河村の目指す高みについて熟知しているのが、NBAでのコーチ経験も豊富である日本代表のコーリー・ゲインズコーチだ。シーズン開幕前にゲインズから何か助言はあったのかを尋ねると、「彼はすごく面白い人で、バスケットだけでなくプライベートのことも話せるコーチです。ただ、特にはなかったです」と答えたが、去年にもらった助言は今でも意識していると続ける。「やるところとやらないところの区別をはっきりしなさいと言われました。やり過ぎるとケガに繋がることもありますし、相手がアジャストしやすくなってしまいます」
そして、開幕2試合はこの点についても好感触を得ている。「去年だったら平均30分近くプレーしていたのが、この2試合は25分くらいでした。やる、やらないところの区別をつけるだけでなく、そもそも25分だったらプレーの強度を落とさずにやり続けられるところもあります。(プレータイムを抑えられて)チームメートに感謝ですし、コーリーの助言も生きていると思います」
横浜BCの絶対的なエースが河村であることは間違いない。だが、昨シーズンに比べて、河村の負担を減らしても勝ち切れる総合力が増していることを、この開幕節での連勝が証明した。仕掛ける時とそうでない時、プレーのメリハリを意識し、さらにプレータイムが抑えられることで爆発力が増した今シーズンの河村が、より支配的な活躍を見せる予感を漂わせる開幕節となった。