ジャマール・マレーは合流の見込み、アンドリュー・ウィギンズも?
カナダ代表はワールドカップで3位と躍進した。オールNBAファーストチームのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーを筆頭に、NBAのスター選手が揃うロスターを見れば当然のように思えるかもしれないが、それ以上の選手層を持つアメリカがチームとして機能しなかったのに対し、カナダはそれぞれが自分の能力を発揮しつつ、チームバスケットも機能していた。
NBAプレーヤーは強力な個人能力を持つが、予選から継続して代表でプレーし続けるのは難しく、チームとしてまとまるのは簡単ではない。それでもカナダはパリオリンピックをゴールとする3年計画を立て、これに賛同した選手はできる限り代表活動に参加している。例えばナゲッツのジャマール・マレーは今回のワールドカップに出場できるコンディションではなかったが、トレーニングキャンプには参加することで自らが代表の一員であるという姿勢を示している。
こうしてNBAプレーヤーがチームとして一つにまとまることで、カナダ代表の躍進は現実のものとなり、2000年のシドニー大会以来となるオリンピック出場権を確保した。2000年はスティーブ・ナッシュの全盛期だったが、彼に続くタレントが不在で準々決勝で敗れている。だが今は違う。ワールドカップの3位はあくまで通過点だ。
エースのシェイを始め、RJ・バレット、ディロン・ブルックスにルグエンツ・ドート、ドワイト・パウエルとケリー・オリニク、ニキール・アレクサンダー・ウォーカーといった主力は全員がパリオリンピックにも参加する見込みで、ワールドカップを欠場したマレーやコーリー・ジョセフもここに加わるだろう。
それだけではなく、『勝負の年』に向けてカナダ代表のロスターはさらに強化される可能性がある。アンドリュー・ウィギンズは3年計画が始まる際に個人的な問題を抱えていて参加しなかったが、2ウェイプレーヤーとして非常に価値のある戦力となる。ペイサーズのアンドリュー・ネムハードとベネディクト・マサリン、オシェイ・ブリセットも来年の代表に加わるかもしれない。
3年計画に賛同した選手を中心に据えることでチームが一つになってきただけに、ここに新たな選手を加えることはケミストリーという強みを打ち消しかねない。それでも、ニック・ナースの後任としてヘッドコーチになったジョルディ・フェルナンデスは上手くチームを掌握しており、新戦力も上手く組み込むと期待できる。
アメリカ代表はレブロン・ジェームズが中心となり『アベンジャーズ』を組むと噂されている。フランス代表にはビクター・ウェンバニャマが加わり、セルビア代表にはニコラ・ヨキッチが戻ってくるだろう。だが、カナダ代表はコアメンバーはそのままでケミストリーを崩すことなく、ピンポイントで戦力を強化できる。彼らは3位で満足してはいない。パリでもっと良い色のメダルをつかみ取るつもりだ。