ニック・ケイ

明日のスロベニア戦に敗退すると、8強入りを逃す可能性大

FIBAワールドカップ2023、オーストラリアはグループリーグ3戦目の日本戦に109-89と快勝し、2次ラウンド進出を決めた。しかし、2試合目でドイツに敗れ、2勝1️敗の成績は満足できるものではない。

大会前、メダル候補の一角に挙げられるなど前評判の高いオーストラリアだが、先発センターを務めるジョック・ランデールが大会直前の練習試合で負傷し、無念の欠場となったのは大きな誤算だった。しかし、パティ・ミルズ、ジョー・イングルスにニック・ケイら百戦錬磨のベテランを軸に、東京五輪の銅メダルメンバーが多く代表入りし、さらにNBA屈指の若手スター選手であるジョシュ・ギディーがFIBA世界大会デビューと充実の戦力を有している。それでも、世代交代の過渡期でチームとしての成熟度は東京五輪の時よりも劣る。グループリーグ初戦でフィンランドに98-72で快勝したが、2️試合目でドイツに82-85と痛恨の敗北。この結果、3試合目となる日本戦に敗れると、まさかのグループリーグ敗退と崖っぷちの状態にあった。

だが、この正念場でオーストラリアはグループリーグ3試合目の中でベストなバスケットボールを展開した。特に過去2試合は出だしが悪く、ドイツ戦ではティップオフから5-16と大きなビハインドを背負った。しかし、日本戦では第1クォーターで25-17と先手を取ると、そのまま常にリードをキープする盤石の試合運びを見せた。

島根スサノオマジックでプレーし、日本のファンにもお馴染みのニック・ケイは、13得点3リバウンドと安定のプレーで日本の前に立ちはだかった。「日本はフィンランドを相手に素晴らしい戦いをしました。今日の試合、彼らは3ポイントシュートがそこまで入らなかったけど、良いプレーだった。とても能力の高いチームに勝てて幸運でした」

このように日本への敬意を強調するケイは、勝因として次のポイントを挙げた。「日本は守備で前からプレッシャーをかけてきましたが、それによって生まれたスペースをうまく突いてシュートを決めることができました。また、守備において試合の立ち上がりでしっかりシュートを止めることができたのは良かったです」

この勝利で2次ラウンド進出を決めたが、ケイは「安堵感はない」と言う。実際、日本戦後にメディア対応のミックスゾーンに現れたオーストラリアの面々はみんな厳しい表情をしていた。そこには2次ラウンドにおける苦しい立場がある。上位2チームが準々決勝に進める中、オーストラリアはドイツ、スロベニアより1勝少ない状態でスロベニア、ジョージアと戦う。ドイツとは直接対決で負けているだけに、勝利数が同じ場合は順位が下となる。そのため8強入りを果たすには、スロベニア相手の勝利が不可欠な状況と言える。

ケイはこう語る。「今日の試合はドイツ戦に比べると、僕たちの本来のプレーができました。ただ、もっと守備を良くしないといけない。引き続き、何度か簡単に突破されて得点を許してしまっています。ここから次の試合に向けて状態を上げていきたい」

東京五輪で銅メダルを獲得したオーストラリアにとって、2次ラウンド敗退は失敗でしかない。明日のスロベニア戦は、オーストラリアにとって生き残れるのか、早期敗退で国に帰るのか、運命を分ける一大決戦となる。