コービーの精神を受け継ぐ「僕はコービーから多くを学んだ」

8月23日は、ヘリコプター事故による悲劇的な死がなければコービー・ブライアントの45歳の誕生日だった。2016年に現役を引退した彼は、プレーをやめる代わりにその情熱を様々な分野で発揮し始め、2019年のワールドカップ前回大会ではアンバサダーを務めた。

彼の影響を受ける選手はいまなお多い。ワールドカップ開幕を目前に控え、フィリピン代表の一員となったジョーダン・クラークソンは、FIBAの取材に対して「僕にとってのGOAT（史上最高の選手）だ」とコービーを語る。

クラークソンはNBAキャリアをレイカーズでスタートさせ、幸運にもコービーのキャリアの最後と重なった。

「キャリアの初期に彼と一緒にいられて良かった。僕はコービーから多くを学んだ。僕のキャリアにとっても、バスケそのものにとっても、彼はとても大切な人なんだ」とクラークソンは言う。

フィリピン代表でも、クラークソンはコービーから受け継いだマンバ・メンタリティを発揮しているという。チームの証言によれば、彼はNBAのスタープレーヤーでありながらフィリピン代表での特別扱いを求めず、チームの一員として練習も日々の生活もこなしているという。

開幕を前にしたフィリピン代表の評価は決して高くはない。熱狂的なホームの観客に後押しされるメリットはあるものの、1次リーグの初戦ではカール・アンソニー・タウンズを擁するドミニカ共和国と、第3戦ではジャズのチームメートであるシモーネ・フォンティッキオを若きエースに据えるイタリア代表と対戦する。フィリピンはこの2チームに勝てない、というのが大方の予想だ。

それでもクラークソンはチームを引っ張り、勝つことだけに手中する。彼の太ももには、若き日の自分と、それに寄り添うコービーのタトゥーが彫られている。常に勝利だけを目指し、できる限りの手を尽くす。彼はマンバ・メンタリティを発揮して、下馬評を覆すつもりだ。