河村勇輝

大事な時間帯に中心選手を欠くも、アンゴラ代表に快勝

8月15日、男子日本代表はアンゴラ代表と国際強化試合を行い75-65で勝利した。

これまでの強化試合では立ち上がりの悪さが目立ったが、この試合は9-2と先行。トム・ホーバスヘッドコーチは「それは分かりやすいです。ジョシュ(ホーキンソン)と(渡邊)雄太が入ったから」と、スタートダッシュに成功した理由を説明した。

先発ガードを務めた河村勇輝も同様の見解を示す。「特に2人が出ているとディフェンスリバウンドが取れるようになりました。トムさんのバスケの中でトランジションをうまく出せると思っていて、第1クォーターにトランジションで何本かシュートを決めることができたのはリバウンドのおかげだと思います。ここ何試合かの入りが良くないのはチームとして問題点でした。今回は富永(啓生)選手だったり、渡邊選手が積極的に点数を取りに行ってくれて、9-2で入れたのは良かったです」

高さのアドバンテージを得た日本だったが、第2クォーター残り約3分半に渡邊が負傷離脱するアクシデントが起きた。さらにホーキンソンはプレータイムに制限があったため、後半は2人が出場しない時間が長く続いた。それでも、日本はインサイド陣を筆頭にフィジカルに守り続け、球際の争いにも勝ち、後半の失点をわずか29に抑えて勝利をつかんだ。

高さと速さ、そして確かな3ポイントシュート力を備えた渡邊とホーキンソンは、替えの利かないチームの中心選手だ。その2人がいない状態でも相手を上回ることができたことには大きな価値がある。河村は「もちろん、雄太さんやジョシュがいたら、かなり強くなるのは当たり前ですけど」と前置きしつつ、大黒柱が不在でも決して焦ることはなかったと強調した。

「トムさんのスタイルは一人に固執することなく全員でバスケットをして、日替わりヒーローが出てくるようなスタイルです。いなかったらいなかったで一人ひとりがステップアップして戦い抜くというのは、これまでのWindow(ワールドカップ予選)やアジアカップでやってきたことなので、自分たちにとってそこまでハプニングというか、すごくネガティブだったわけではないです」

ニュージーランドとの強化試合に敗れた後、「雄太さんだったり、ジョシュがファーストオプションになりながら、僕はロールプレーヤーに徹する時間帯も増えてくると思う。僕1人で打開するようなチームじゃない」と、河村は代表のスタイル、自身の立ち位置について言及していた。今回はそのファーストオプションの選手が大事な時間帯にいなかったが「これまでやってきたことの積み重ねがあるので、そこまで戸惑いはなかった」とあらためて胸を張った。

河村勇輝

「チームメートに助けられたという感覚が強い」

河村は19分5秒のプレータイムで8得点4アシスト(チームハイタイ)を記録。ターンオーバーをゼロに抑え、ポイントガードとして及第点以上と言える数字を残したが、本人は「まだまだですね」と不満気だ。「1試合を通して自分のプレーには納得できていなく、本当にチームメートに助けられたという感覚が強いです。これからフランスやスロベニアなどもっとレベルが高いチームと戦うことになるので、もっと持ち味を発揮してチームに貢献したいです」

河村はストイックが故に、自身のパフォーマンスに満足いくことのほうが少ない。ただ、それを差し引いても、ブロックショットを浴び、フリースローを4本中1本しか決められなかったことが自身への低評価に繋がっているのだろう。それでも、そうした反省点を探し、すぐに改善していく修正力を河村は備えている。河村は言う。

「アンゴラや世界レベルになると、アジアで通っていたようなパスが相手の手に当たってしまう。そういうことが今日は何回かありました。それはこの強化試合3試合でアジャストしていけばいいと思います。この試合である程度、世界レベルのブロックというのが分かってきたので、それも良い収穫になりました」

明日のフランスとの強化試合は渡邊雄太が欠場し、追加招集されたルーク・エヴァンスがメンバー入りする。世界トップクラスの相手に対し、日本がどこまで通用するのか。河村が言う「これまでやってきたことの積み重ね」の真価が問われる。