中国代表

相手のスピードやスキルに振り回されず、自分たちのペースで戦えるか

アジアと世界大会では戦い方が大きく異なってきますが、アジアにしては珍しくサイズのある中国は例外かもしれません。ジョウ・チーとワン・ジェリンのツインタワーはチームに安定感をもたらし、予選ではオーストラリア以外のチームにはすべて勝利し、ワールドカップの出場権を得ました。

スピードと運動量、そしてアウトサイドのシュート力が重視される現代バスケにおいてツインタワーは珍しく、ドライブに対するカバーリングやオフェンスリバウンドでのメリットが出てきます。もちろん、ただ身長が高いのではなく、インサイドでのステップワークでディフェンスを翻弄しての得点や、ガードのスピードについていくフットワークも持ち合わせており、世界が相手でも十分に通用する武器です。

ゴール下の高さというアドバンテージを押し出したロースコアの戦いが中国の持ち味ですが、世界が相手になると高さで上回っていてもフィジカルの強さに押し込まれ、ファウルの多さに悩まされることがあります。さらにアジアでは体験できないスピードに振り回されると、後手を踏むことになる危険性もあります。自分たちのペースを乱されても、焦らずに流れを引き戻せるかが大きなカギとなるでしょう。

そんな中、今大会はカイル・アンダーソンがチームに加わることになりました。身体能力溢れるNBAの世界でスローモーションのような動きから広い視野と正確な判断力を見せるアンダーソンは、どんな状況でもブレないプレーが持ち味です。まさに中国が必要としていたタイプの選手だけに、彼の加入は単なるNBAプレーヤーという意味を超えた戦力アップになりそうです。

今大会の予選リーグではガード陣まで大きくパッシングオフェンスで振り回してくるセルビア、ウイングスパンの長さなどアフリカならではの特徴を持つ南スーダン、スピードのあるプエルトリコと同じグループとなりました。それぞれのチームが異なる特徴を持っているだけに、いかに自分たちのペースに持ち込めるかが重要です。

中国はヤオ・ミンを中心に代表チームの強化を計画的に進め、アジア予選では安定した強さを発揮しました。ツインタワーが世界に通用するのかどうか、今大会で明確な結果を示したいところです。