セルビア代表

スター選手不在でもサイズとスキルを生かしたスタイルは変わらず

今や世界最高の選手となったニコラ・ヨキッチを擁し、優勝候補の一角として考えられているセルビアですが、オリンピックにユーロバスケットと毎年オフに国際試合が続いた中で、休養や来シーズンへの準備を優先するため、今大会はヨキッチを始め多くのNBAプレーヤーが欠場することとなり、ややパワーダウンした形で大会に臨むことになります。

セルビアはビッグマンでも多様なスキルを持ち、ポジションの概念に縛られないプレーが特徴です。また、ヨキッチ同様に今大会を欠場するヴァシリイェ・ミチッチはポイントガードながら195cmのサイズがあり、ガードは大きく、ビッグマンはガードのようなスキルを持っている構図です。主力が欠場するとはいえ、チームとしての特徴は大きく変わらず、サイズとスキルを生かしたプレーをしてきます。

さすがにヨキッチの代役はいませんが、メンバーが変わっても華麗なパスワークで崩していくスタイルは変わりません。ホークスのボグダン・ボグダノビッチを中心に個人技でもチームオフェンスでもクオリティの高いプレーを見せます。アウトサイドからの得点力の高さとインサイドで合わせる上手さはテレビゲームのような鮮やかさで、相手ディフェンスからすると止めるのが極めて難しいオフェンスです。

一方でディフェンス面では1on1の対応やアウトサイドのカバーリングなど、チーム全体でスピードが足りていない面があり、オリンピック世界最終予選とユーロバスケットではともにイタリアのアウトサイドシュートを中心としたオフェンスに打ち負けました。高さとスキルがチームのストロングポイントであるのに対し、スピードはウィークポイントとして分かりやすく、充実した戦力の割に国際大会では結果を残せていないのが現状です。

しかし、ディフェンス面で問題があってもオフェンス力でセルビアに対抗できるチームはグループBには見当たらず、層の厚いチームだけに1次リーグでつまずくとは思えません。順当ならば2次リーグではイタリアとの対戦が見込まれ、ここがセルビアにとって重要な試合になりそうです。

セルビアのバスケットは美しく、誰もがお手本にしたいプレーを展開しますが、同時に美しいだけでは勝てないことを我々に示すチームでもあります。期待されながら国際大会で勝ち切れない状況が続いた中で迎える主力不在の今大会は、美しさよりも勝ち切るバスケットをしたいところです。