キャム・トーマス

「僕が大事にするのは、チームメートから信頼されているかどうか」

2021年のNBAドラフトで1巡目27位指名を受けてネッツに加入したキャム・トーマスは、NBA2年目のシーズンを終えた。ここまでの彼をどう評価するかは非常に難しい。2シーズン平均で124試合、17.1分の出場。9.5得点は一般的なロールプレーヤーのスタッツでしかない。

だが昨シーズンのトレードデッドライン前、カイリー・アービングが突然のトレード要求をしてチームが大混乱に陥り、後に退団するケビン・デュラントもケガで不在という状況で、トーマスはウィザーズ相手に44得点、クリッパーズを相手に47得点、サンズ相手に43得点と、3試合連続で非凡なオフェンス能力を発揮した。

すさまじいポテンシャルを持っていても、得点力のあるベテランが揃うネッツではその能力を発揮する場がなく、カイリーとデュラントの退団でようやくチャンスが巡って来るかと思われたが、結局はトレードで加入したミカル・ブリッジズなど新戦力が優先して起用された。レギュラーシーズン最終戦では、プレーオフの準備で主力不在のセブンティシクサーズを相手に46得点を叩き出したが、プレーオフでは出場わずか2試合、合計でも15分のプレータイムしか与えられず、インパクトを残せなかった。

それでもトーマスはネッツに不満を抱いてはいない。『The SchuZ Show』に出演した彼は、自身の起用法について「チームは転換期にあり、ヘッドコーチも交代したから状況は理解していた」と語る。3試合連続で40得点超えを記録した時期は「厳しい状況で僕らが団結し、チームとして何を達成できるか明らかにしようと決めたことで、良いプレーができた」と振り返る。

自分の評価が思うように上がらないことについて、彼はさほど気にしていない。「僕が大事にするのは、チームメートから信頼されているかどうか。みんな僕のことを認めてくれている。そうじゃなかったら40得点超えなんて無理だよね。みんなが僕のためにお膳立てしてくれなければあり得ない結果なんだから」

そのトーマスは横須賀生まれ。「家族が軍に所属していて、そこで僕が生まれた。1年ぐらいしかいなかったから記憶はないんだ」と語り、日本代表でプレーすることについても触れている。

「詳しいことは分からないけど、その選択は僕のチームが調べてくれたはずだ。アメリカ代表にせよ日本代表にせよ、キャリアのどこかでワールドカップやオリンピックでプレーしてみたいから、今は両方の選択肢を残しておきたい。今は代表でのプレーにはあまり興味がなくて、NBAで自分のキャリアを築くことに集中するよ。他のことを考えるのはNBAでキャリアを確立してから。一歩一歩進んでいきたいんだ」