カーメロ・アンソニー

息子を指導するカーメロ「ようやく父親の気分を味わっている」

カーメロ・アンソニーは5月に現役引退を表明した。19シーズンでオールスターに10回選出され、NBA歴代9位の通算2万8289得点を記録した彼は、引退にあたり発表したメッセージビデオで「僕のレガシーとは何かと質問されて思い浮かべるのは、コート上での偉業や賞ではない。僕のレガシーは息子だ。僕は君を通じて永遠に続く」と語り、16歳の息子であるキヤンに夢を託した。

カーメロを父に、女優のララ・アンソニーを母に持つキヤンは現在16歳。全米の有望高校生を紹介しているサイト『247SPORTS』において、2025年入学組のシューティングガードで14位、全体62位にランキングされている。

カーメロが出資するYoutubeチャンネルの『Overtime』は、10代のバスケ選手を数多く取り上げている。その中でキヤンのドキュメンタリーの第1回が配信された。ここでは父カーメロの指導を受けて練習する姿、試合でのプレーが収められている。

「僕は自分がNBA選手の息子ってだけじゃないことを世界に示したい。他の多くの選手がそうであるように、常に謙虚でいて、最終的な目標に意識を向けて、そこへ進んでいきたい」とキヤンは言う。

このドキュメンタリーが配信されるにあたり、カーメロとキヤンは『The Post』の取材に応じている。キヤンはオールスター選手の息子ではあるが、つい最近までNBA選手になるという夢を持ってはいなかった。彼にとってバスケはあくまで友達と一緒に楽しむもの。「AAUのチームでワークアウトをして、試合をするようになってから、本当の楽しさに気付いた」とキヤンは言う。

「今は相手チームのベストプレーヤーをマークし、オフェンスでは立ち向かっていく。以前だったら誰かに頼ってしまっていたけど、今はそうじゃない」

カーメロも息子にバスケを強要しようとはせず、「本気でバスケをやる気になったら、その時は一緒にやろう」という姿勢を貫いた。実際、現役の頃は家族と過ごす時間が少なく、ここに来てようやく時間が取れるようになった。タイミングを合わせるようにキヤンが野心を持ち始め、親子のタッグが機能し始めた。

「ようやく父親の気分を味わっているんだ」とカーメロは言う。「普通の親が子供にするように計画を練って、キヤンにいろんなことを教えてやれる。今はそれが本当に楽しいよ」

有名選手の息子であるだけでなく、プレー自体でも注目を集めるようになったキヤンの進路は、奨学金を得ての大学進学が第一候補で、その中には20年前にカーメロが全米優勝へと導いたシラキュース大も含まれている。ドキュメンタリーには母親のララ・アンソニーも登場し、「メロが父親としていろんなことを教えてくれるのは本当にありがたいけど、自分で道を切り開くのも大切なこと」と言う。

カーメロも同じ考えで、進路について今のところ口出しはしないと語る。「スカウトされる過程を知り、それが息子にとってどんなことかを経験してもらいたい。『あそこに行くべきだ』なんて言うつもりはないよ。キヤンが必要とするなら、それぞれの選択肢についての長所と短所、プレースタイルに合うかどうかアドバイスはできる。でも、どんな決断であれ彼が決めたことであれば、父親として誇りに思うよ」

ただでさえ『カーメロの息子』として大きなプレッシャーを受けるキヤンのドキュメンタリー出演はリスクでもあるが、「10代の若者としていろんなことを経験しながら、自分の人生を見つけようとしているキヤンがどんな子なのかを理解してもらいたい」とカーメロは考えている。