文・写真=鈴木栄一

ダブル・ダブルの活躍で準決勝進出の立役者に

オールジャパンの準々決勝第1試合、第1シードの川崎ブレイブサンダースは、サンロッカーズ渋谷を相手に前半で15点のリードを奪うと、後半に入っても常に2桁リードを保つ危なげない試合展開で91-65と快勝。ベスト4一番乗りを決めた。

この試合、川崎は辻直人が19得点、ニック・ファジーカスが16得点と主役2人がしっかりと仕事を果たしたが、彼ら以上に際立っていたのがライアン・スパングラーだ。フィールドゴール7本中6本と高確率でシュートを沈めて20得点、さらに15リバウンドのダブル・ダブルで勝利の大きな原動力となった。

「レギュラーシーズンでの対戦と比べると彼らは強くなっていた。今日はとてもシュートが入っていたし、アップテンポなバスケでとてもタフだったね」と、スパングラーはSR渋谷の印象を語る。「良いスタートを切れたこと、そして集中してプレーし、いつもやっていることをできたのが良かった」と勝因を分析する。

前日に続き川崎は今日も12時ティップオフと、普段とは違う時間帯での試合であり、コンディション調整で難しい面はあったが、「12時スタートには慣れていないからキツい面はあった。ただ、それを言い訳にはできない。時間に関係なく、いつものようにプレーすることを心がけた」と語るように、スパングラーはコートを縦横無尽に駆け回り、オフェンスとディフェンスの両面で躍動した。

「トーナメントではホットスポットを見つけることが重要だ」

オールジャパンはレギュラーシーズンと違うトーナメントならではの難しさがある。ただ、スパングラーはオクラホマ大学時代の昨年、全米大学選手権でバディ・ヒールド(現NBAペリカンズ)とともに中心選手としてチームをファイナル4(準決勝)に導いたように、トーナメントの勝ち方を知っている。

「選手権では優勝できなかったけど、あと一歩まで行った。トーナメントは毎試合ハードな戦いになるから、適切なタイミングでホットスポット(うまく機能している部分)を見つけることが重要だ」と一発勝負で勝つための要素を述べる。

この試合の得点が示すように、今やスパングラーはファジーカス、辻と並ぶ川崎に欠かせない得点源であり、2人と合わせて『ビッグ3』と評しても申し分ない存在だ。しかし、本人はとても控え目だ。

「僕の仕事はチームにエナジーをもたらすこと。ニックと辻は、相手にとって止めるのが難しく、得点を取ってくれる存在だ。彼らがシュートを外した時、僕がリバウンドを取ったりして攻撃をつなげてサポートする。また、トランジションで得点を挙げるなどでチームに貢献したい」と、あくまで自分の役割はリバウンドを始めとする『泥臭いハードワーク』にあると考えている。

ちなみに、スパングラーにとって川崎は、プロバスケ選手としてプレーする最初のチームであり、今回が初の海外生活でもある。川崎の暮らしについて聞くと、「オクラホマとは大きく違うね。まずはとても人が多い。ただ、通訳の人にいろんなところに連れていってもらったし、静かなところもあって気に入っている」と、郊外ののどかな街で過ごした大学時代とのギャップに最初は戸惑ったようだが、すでに順応している様子だ。

「電車での移動も今は慣れてきた。時々、通訳やニックに行き方を聞くけど、4つか5つはお気に入りの場所があって、自分で行っているよ」

明日は休養日となるが、優勝するためには8日と9日の連戦が控えている。計5日で4試合をこなすタフな日程を制するためには、チームの総合力がより問われてくる。それだけにファジーカス、辻に続くスコアラーであり、リバウンドに力を発揮するスパングラーは、川崎の王座奪還への重要なキーマンになってくるはずだ。