文=丸山素行 写真=本永創太

後半の立ち上がり、ゾーンを生かしたランで千葉が圧倒

『オールジャパン2017』準々決勝、栃木ブレックスと千葉ジェッツが激突した。リーグで2番目に多い得点を挙げているオフェンス力を誇る千葉が、リーグ最少失点と堅守を持ち味にする栃木を圧倒し、81-62で快勝。5回目の大会参加にして初めてベスト4進出を果たした。

冨樫勇樹が「前半でリードできたことが良かった」と試合を振り返る。その富樫が3本、小野龍猛が2本の3ポイントシュートを決めて千葉が先行。さらに栃木はファウルトラブルに苦しんだ。オフェンスファウルなど不運とも言えるファウルが続き、激しく守れなくなった状況でインサイドを突かれてしまう。このアドバンテージを生かしたのがタイラー・ストーンだ。強引な仕掛けにミドルシュートも織り交ぜてオフェンスを引っ張り、千葉が37-24と前半をリードした。

そして第3クォーター立ち上がりから、千葉はゾーンディフェンスを効果的に使い栃木にタフショットを打たせ、そのリバウンドを確実に取ることで流れを呼び込んだ。テンポの良いオフェンスで11-0のラン、48-24と栃木を一気に突き放す。

攻守に貴重な働きを見せたのは小野。前半には3ポイントシュートで、後半はポストプレーや合わせなど幅広い働きで多彩なオフェンスを演出し、的を絞らせないことで栃木に付け入る隙を与えず、自らも14得点を挙げている。また富樫は自ら果敢な仕掛けを繰り返してスピーディーな攻めを展開。試合を通じて栃木を後手に回らせた。

このまま試合終了までゲームをコントロールした千葉が81-62で勝利。すべてのクォーターで栃木を上回る完勝だった。

ストーンが得点とリバウンドで勝利を引き寄せる

大野篤史ヘッドコーチは勝因を「選手全員がディフェンスに集中してくれたことと、リバウンドを取って自分たちのテンポでバスケットができた」と語る。10リバウンドでゲームハイを記録したのはストーン。得点でも25はゲームハイの数字で、攻守にフル回転した。

栃木は絶対的な司令塔である田臥勇太が無得点、ポイントガード対決は富樫に軍配が上がった。エースキラーの遠藤祐亮が前半からファウルトラブルに陥ったことも大きな誤算。第4クォーターには集中を切らしてしまい、ライアン・ロシターがファウルアウト。試合を重ねるごとに動きの良くなる古川孝敏の復調ぐらいしか見るべき点のない完敗だった。

敗れた栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは「すべての要素において負けていた」と敗戦を認めた。「平均18アシストのチームが7アシストに終わり、リーグナンバー1のリバウンドでも千葉を下回った」と自分たちのバスケットが遂行できなかったと表情は硬かった。

千葉は初のベスト4へ進出。明日の休養日を挟み、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを破ったシーホース三河と準決勝を戦う。