年末に開催されたウインターカップ男子決勝、福岡第一vs東山のテレビ中継(Jスポーツ)において、ゲスト解説をしたのは青山学院大のポイントガード納見悠仁(写真左/182cm、明成高出身)と東海大のセンター平岩玄(写真右/199cm、土浦日大高出身)の1年生コンビ。ともに昨年度(2015年)のウインターカップでは決勝の舞台を沸かせた選手たちだ。この2人は2014年にはU-17世界選手権に出場して世界の舞台を経験している有望株でもある。
大学でも1年次から戦力になり、納見は大学新人王を受賞、平岩は日本代表の重点強化選手に選出された。これからの大学界を背負っていく期待の2人に、ウインターカップの感想と今後の課題を語ってもらった。
納見「高校で教わった『基本の大切さ』は大学で生きている」
――ウインターカップ決勝を観戦しての感想は?
納見 途中までは玄と「僕たちの決勝と展開が似ているね」と言いながら見ていました(2015年の決勝は、土浦日大がリードするも第4クォーターで明成が一気に逆転)。最後は東山がもう少し頑張れたら追いつけたと思います。でも両方が頑張った試合でした。
平岩 やっぱり、東京体育館の雰囲気はいいなと思いました。こんなにたくさんの人に見てもらえる環境は日本にはあまりないので、東京体育館でやるウインターカップは特別だと思いました。でも大学生だって代々木(第二体育館)があるので、代々木で頑張りたいです。
――2人の母校、明成と土浦日大の戦いぶりについてはどう感じましたか?
納見 明成は残念ながら1回戦で負けてしまいました。12月にはOB戦をしたし、青学とも練習試合をしたんですけど、その時はもっと強気でやれていたところもありました。みんながみんな、「失敗してもいいから攻めよう」という気持ちが出せていなかったし、リバウンドを取りにいく姿勢や粘り強さも足りなかった。明成がそれではいけない。後輩たちにはできると思うから厳しいことを言うけれど、来年はもっと上に行けるように頑張ってほしい。応援しています。
平岩 去年の主力がほとんど抜けてしまい、(杉本)天昇一人と言われていたチームでしたが、キャプテンの菅原が引っ張って、周りもよく頑張りました。2年生の新山と高原が出てきたし、1年生のセンターたちも苦労しながら戦力になっていて、天昇だけじゃないチームになっていました。準々決勝の北陸学院戦は天昇が得点を取れなくて負けたけど、新しい選手たちが芽生えてきたのは、これからの土浦日大にとって明るいところです。
――それぞれ、高校3年間で学んだことを大学でどう生かしていますか?
納見 高校の時には、苦しいところで粘り強く頑張ることとか、ディフェンスとオフェンスの技術を細かく突き詰めて教えてもらいました。小手先だけの技術ではなく、基礎的なことをたくさんやったので、大学でもどんどん次につながっていくと思っています。大学の試合でも「こういう場面で粘り強くやれば勝てるな」と思うことがたくさんあるのですが、大学では身体の強さが違うこともあって、高校の時に学んだ粘り強さがまだ出せないこともあります。これからもっと身体を強くして、粘り強さを出せるようにしたいです。
平岩 僕の場合は、高校ではすごく叱られた佐藤先生、大学では全然怒らない陸川先生という両極端な監督に教わっているのですが、指導のやり方は違っても、根本的にやっていることは『基本が大切』ということで一緒だと感じています。納見も言ったように、高校3年間は小手先の技術だけでなく、基礎的なことや体力面をたくさん練習したので、高校で叩きこまれたことが大学でも生きています。
平岩「日本代表の重点強化選手に選ばれたのはうれしい」
――大学での目標と、将来的な目標を聞かせてください。
納見 僕は身長的に1番(ポイントガード)をやれるようになるのが今の目標です。高校でも1番をやっていたのですが、大学では2番(シューティングガード)もやっているので、しっかりと1番をできるようになりたい。1番といってもシュート力が必要で、自分はシュートには自信があるので、シュート力を生かしながら1番の役割を果たしていきたい。1番の役割をしながら攻める時に攻めることで、守りづらい選手になれると思うし、そういうプレーをすることがプロで通用することにつながると思います。将来はBリーグのB1のチームに入って活躍したいです。
平岩 まず近い将来の目標としては、ユニバーシアードの候補に入ったので、正式なメンバーに選ばれること。また今回、日本代表候補の重点強化選手に選んでいただいたのはとてもうれしいことで、Bリーグの選手たちと一緒に合宿できる機会を大切にして、勉強しようと思います。具体的な目標としてはプレーの幅を広げることです。重点強化選手といっても、Bリーグには2メートルを超える人はたくさんいるし、その中で自分は特別大きくはありません。将来Bリーグでプレーすることを考えれば外国人選手もいるわけで、ずっと5番(センター)をやっていてはこの先の道はないので。インサイドの技術は大切ですけど、プレーの幅をもっと広げていきたいです。
――目標に「Bリーグ」が出てきましたが、2人にとって日本に新しくできたプロリーグはどんな存在ですか。
納見 もともとBリーグがなくても、将来はトップの環境でバスケの選手を続けたいと思っていました。でもBリーグができたことで環境が変わり注目度も高まって、自分の周りでは(青学で試合をやっているので)バスケを知らない人でも「見た?」とかいう感想が聞こえくるようになりました。バスケットをする環境が変わってきているのはうれしいです。
平岩 自分たちの高校の時と違ってBリーグが始まったことで、高校からプロに行く道ができて、大学進学だけではない選択肢が増えたのはいいことだと思います。大学界もBリーグの人気に乗っかって、たくさんの人に見に来てもらいたいです。でも、まだ1年目だからどうなるか分からないところもあるので、将来、僕たちが進む道として注目していこうと思います。