ゲイブ・ビンセント

「コートでのチャンスは計り知れない。楽しみで仕方ないよ」

ヒートのNBAファイナル進出に貢献したゲイブ・ビンセントは、オフに大きなご褒美を手に入れた。レイカーズとの3年3300万ドル(約45億円)の契約だ。大学で4年間プレーし、NBAドラフトでは指名されず、Gリーグでプレーした。2019-20シーズン途中に2ウェイ契約でヒートに加わり、少しずつ実力を伸ばして、昨シーズンのプレーオフでの大活躍に至った。

昨シーズンは26分のプレータイムで9.4得点、2.5アシスト。スタッツで目立つタイプではないが、攻守両面でハードワークができ、バスケIQが高く臨機応変に立ち回ることでチームに貢献できる。セルティックスとの第3戦で29得点、ナゲッツとの第2戦で23得点と、真価を問われるプレーオフのプレッシャーの中で大量得点を奪う爆発力も持ち合わせている。

遅咲きの彼は4年目を終えた今オフに27歳となった。それでも彼は、ここまでの下積み生活があったからこそ成功を収められたと信じている。JJ・レディックがホストを務める『The Old Man and The Three』に出演したビンセントは、「ヒートカルチャーと呼ばれる習慣が僕にすごくハマった。練習方法にせよ身体のケアにせよ食事にせよ、ヒートで学んだ習慣をレイカーズでも続けるつもりだ」と語る。

「ヒートは僕にチャンスを与えてくれた。僕はヒートで成長し、活躍できた。だから本当は残留するつもりだったんだ。移籍が決まって最初にやったのは、家族のために手配していたシーズンチケットを断ることだった。そう、残るつもりでいろいろ進めていたんだ。でも、自分にとっても家族にとってもベストな決断をしなきゃならなかった。このチャンスを逃すわけにはいかなかったんだ」

それでもレイカーズ移籍は彼のキャリアを押し上げる大成功であり、彼自身ももちろん歓迎している。「そう、これはすごいことだ」とビンセントは言う。「僕はカリフォルニアで生まれ育ったから、西海岸に戻って来れてうれしい。家族が試合を見に来るのはずっと楽になる。生活面では結構楽になると思うし、コートでのチャンスは計り知れない。楽しみで仕方ないよ」

レイカーズではデニス・シュルーダーが担っていた2番手のポイントガードとなるが、ロブ・ペリンカGMは先日、ポイントガードの序列について「コートで勝ち取るもの」と語り、ディアンジェロ・ラッセルとの健全な競争の結果を待つと明言した。

ビンセントの強みはプレーの幅の広さで、オフェンスでもディフェンスでも、オンボールでもオフボールでも、プレーメークでもシュートでも、トランジションでもハーフコートオフェンスでも対応できる。

「どんな状況であれ効率の良いプレーができるのが僕の持ち味だと思う。ヒートには良いガードがたくさんいて、彼らから少しずつ学んで自分のスタイルを作った。それをプレーオフで示せて自信になった」と語るビンセントは、レイカーズでも大仕事をやってのけるつもりだ。