デジャンテ・マレー&トレイ・ヤング&クイン・スナイダー

4年1億2000万ドルで契約延長、トレイ・ヤングは「シーズンが待ちきれない!」

ホークスはデジャンテ・マレーと4年1億2000万ドル(約160億円)の契約延長に合意した。これで一昨年オフに5年のマックス契約を結んでいるトレイ・ヤングとのコンビが少なくともあと3シーズンは続くことになる。マレーとの契約延長が発表されると、トレイは「シーズンが待ちきれない!」とツィートした。

昨年オフにホークスは1巡目指名権3つを譲渡することでスパーズからマレーを獲得したが、昨シーズン中盤までチームの調子は上がらなかった。トレイとマレーは互いにリスペクトはしていたが、交互に個人アタックを繰り返すだけで、1+1が3にも4にもなるケミストリーが生まれる気配はなかった。さらには指揮官ネイト・マクミランとトレイの不和が明るみになり、トレイがトレードを要求するとの報道も出回るようになって、チームは空中分解しかかっていた。

それでも、トレードデッドラインを過ぎた2月末にヘッドコーチがクイン・スナイダーに代わると、個人技からバランスアタックへのシフトが始まり、チームプレーが機能するようになった。最終的にプレーオフのファーストラウンドでセルティックスに敗れるのだが、プレーイン・トーナメントではヒートを一発勝負で撃破。ポストシーズンでヒートの驚異的な粘りをねじ伏せたのはNBAファイナルでのナゲッツを除けばホークスだけだ。

スナイダーの下で戦ったのは約2カ月だけ。それでもチームが良い方向に変化していたのは明らかだった。トレイがトレードを要求することはなく、マレーも契約延長に応じずにフリーエージェントで出ていく可能性があったが、杞憂に終わった。

ホークスに生まれた良い流れの中心には、やはりスナイダーがいるようだ。マレーは「コーチとは毎日メールをしている。それは僕だけじゃ意味がなく、上から下まで全員がそうなんだ」とコメントしている。「クインは情熱的なコーチで、勝利を求めるのはもちろん、僕らをバスケ選手としての成功へと導いてくれる」

ジャズで8シーズン指揮を執り、通算372勝264敗(勝率58.5%)を記録したスナイダーは、昨年オフにジャズからの契約延長オファーを断って辞任した。ホークスの指揮を引き受けるにあたり、自分の望むロスター改造をクラブに認めさせたとの報道があったが、『The Athletic』のインタビューで彼はそれを否定している。

スナイダーは言う。「人事について自分なりの意見は言わせてもらうが、決定権はない。ランドリー・フィールズGMとアシスタントのカイル・コーバーの仕事を私は全面的に信頼している。それに、どんな人材であれその可能性を最大限に引き出すのが私の仕事だ」

選手の可能性を最大限に引き出す──。それが本当だと思える要素があるからこそ、ヤングもマレーもスナイダーを信じてついていく。大きな補強で注目を集めるわけではないが、ホークスには成功の予感が漂っている。