小玉大智

文・写真=鈴木栄一

「新しい実践学園の歴史を作ることができて良かった」

2018年ウインターカップ、男子ベスト8の1試合目は桜丘が実践学園を85-71で撃破した。桜丘は富永啓生が39得点、セン・マム・リバスが30得点と2枚看板が本領をしっかり発揮したのが光った。

特に試合の明暗を分ける要因となったのが、第1クォーターで富永がこのクォーターだけで19得点といきなりの爆発でチームを牽引し、33-15と主導権を握ったことが大きかった。

実践学園の高瀬俊也コーチも、序盤の出遅れが響いたと振り返る。「第1クォーター、富永君を抑えたかったですが、対応がちょっとソフトになってしまいました。やれられた後、簡単にボールを持たすなと指示してから点数は少し止まってくれましたが、最初が甘かったところがあります。最初にリードを許し追いかける展開になったことで苦しかった」

これで大会終了となってしまった実践学園だが、3年連続3回目となった今年のウインターカップは、一昨年の初戦敗退、昨年の3回戦進出から着実にステップアップし、初のメインコート進出となった。

ちなみに実践学園は、付属の実践学園中学が今夏の全国中学校バスケットボール大会で3度目の優勝を果たした全国屈指の強豪校。その実践中が初めて全国王者となったのが今の実践学園の3年生、キャプテンの小玉大智を軸とした代であり、「他の学校に進学する生徒もいる中、高校に上がって私の下でバスケットを頑張ってくれました。学校では私が担任でもあります。そういった生徒たちと、新しい実践学園の歴史を作ることができて良かった」と、高瀬コーチは大きな成果を得られた大会を振り返る。

小玉大智

キャプテンの小玉「今日のゲームは楽しかったです」

小玉は前半こそファウルトラブルでプレータイムが制限されたが、後半は「後半は開き直って悔いを残さないようプレーしていました。今日のゲームは楽しかったです」と、留学生プレーヤー相手にも真っ向から渡り合っての12得点5リバウンドと存在感を見せた。

昨年のウインターカップでは故障で欠場。「ケガをした時は家でずっと泣いていました。3年生になり、キャプテンとしてチームをうまくまとめられず沈んでいた時期もありました」と小玉にとっては苦しみも多かった高校生活。それでも最後の大会となったこのウインターカップではサイズこそないが、がっちりした体格を生かしゴール下で奮闘すると、アウトサイドからもシュートを決めるオールラウンドな活躍を見せた。

「高校時代の一つの目標は先輩たちに恩返しをすることで、本当はもっと良い姿を見せたかったです。そこは残念でしたが、このチームでできて良かったです。バスケ部で初めてのメインコートを誇りに、学校に帰りたいと思います」と語る小玉は、後輩たちに向けて次のようなエールを送っている。「生意気な言い方になってしまいますが、チームとしてまとまる力はあるのでそれをもっと武器にしていってほしいです」

メインコートという一つの大きな壁を乗り越え、付属の中学校から楽しみな人材の進学も予想されている。今年のウインターカップは実践学園が高校バスケの有力校へと躍進を続けて行く大きな契機だった、と数年後に振り返ることのできる大会になるかもしれない。