守護神スティーブを中心とする堅守から速攻へ繋ぐ
ウインターカップの3日目で一番の好カードと見られていた男子2回戦、福岡第一と東山の強豪対決は、大会有数の破壊力と評されていた東山の強力オフェンスを押さえ込んだ福岡第一が83-54で圧勝した。
試合前、勝敗を分ける大きなポイントの一つと見られていたのが福岡第一のクベマジョセフ・スティーブ、東山のグランダマベラ・モンゾンボクリスティンの留学生同士によるセンター対決だった。しかし、試合開始早々、スティーブがブロックを量産するなど、ゴール下の攻防で優位に立つ。
「先生はクリスティンに対して、スティーブの1対1ではなく今日はみんなで守ろうと言っていました。それが、スティーブの気持ちに火をつけたのかもしれません。いつも以上に集中していて、クリスティンを守りながら自分たちのカバーもしてくれて頼もしかったです」とキャプテンの松崎裕樹が振り返るスティーブは気合い十分。得点こそ10点に留まったが、17リバウンド8ブロック4スティールと守護神と評すべきハイパフォーマンスだった。
このスティーブを軸とする堅守により、福岡第一は第1クォーターで15-4とオフェンス重視の東山の出鼻を完全にくじくことに成功。第2クォーター以降は東山も吉田竜丸、松野圭恭の奮闘で追い上げを図る。しかし、福岡第一は、攻守の素早い切り替えによるトランディションオフェンスで確実に加点していくことで、常に2桁のリードを保つ。
また、ゴール下だけでなく「しっかりスカウティングして、相手のインサイドアウトに対してあえてコースを空けて狙ったサイドにパスを出させることでパスカットできました」(松崎)という用意周到な組織的ディフェンスも機能。計17のスティールから速攻に繋げた。
そして「僕らはディフェンスが全てのチームですから、そこはよく守ってくれました」と井手口孝監督が称えたように最後まで強度の落ちないディフェンスを貫いた福岡第一が、危なげない展開で勝利した。
「走る自分たちのスタイルがしっかり出せました」
どんな強豪であっても大会初戦からいつも通りの力を出すのは難しいもの。しかも相手はすでに1試合戦って緊張もほぐれている東山ということで、優勝候補の福岡第一であっても、激闘になるのは免れないという見方は少なくなかった。
だからこそ松崎も「相手は関係なく、いつも通りやろうと思いましたが、相手は強豪校で一発目からびしっとやらないと終わってしまう。そこでいつも以上に気合いが入り、声を出したりして仲間の緊張をほぐすことをより意識しました」という気持ちで試合に臨んだ。
そして、いきなりの難関を「走る自分たちのスタイルがしっかり出せました」と持ち味の堅守速攻を存分に発揮して乗り越えたことに「正直に言ってホッとしています。初戦はどの大会で緊張してしまうものですが、良い形で勝ち切れたので、これから勢いにのってやっていければいいと思います」と大きな手応えを感じている。
理想的な形でウインターカップのスタートを切った福岡第一。昨年は準決勝敗退と、あと一歩で逃した王座奪還に向けて、明日は名門の北陸に逆転勝ちして勢いに乗る飛龍と対戦する。