松脇圭志

ディフェンスではなく「シュートで仕事ができたことが一番良かったです」

琉球ゴールデンキングスはBリーグファイナルで千葉ジェッツを連勝で下し、初のリーグ制覇を成し遂げた。

第1戦はファイナル史に残るダブルオーバータイムの死闘を96-93で制し、第2戦は最終クォーターに31-19と突き放しての勝利となった。そして、この2試合で顕著に表れたのが、琉球のセカンドユニットの強さだ。琉球は2試合ともベンチメンバーが45得点を稼ぎ、特に第2戦の最終クォーターは先発の岸本隆一が一度もコートに立たず、日本人エースの今村佳太もわずか1分23秒の出場と、ほぼセカンドユニットが勝負を決めた。

2試合平均で24分のプレータイムを獲得し、10本中5本と高確率で3ポイントシュートを射抜いた松脇圭志は、セカンドユニットの核として大いに勝利に貢献した。そして松脇も「セカンドユニットがハマった」と言い、選手層の厚さに胸を張った。「ウチは崩れないところが強みで、誰もが声を出して流れが悪くなった時でもコミュニケーションを多く取れていました。選手層が厚いチームだとも思っていて、その部分で時間をシェアして試合ができたことが良かったと思います」

松脇は高確率な3ポイントシュートに加え、フィジカル色の強い守備でどんな相手にもアドバンテージを与えず、アンスポーツマン・ライク・ファウルがコールされないクレバーなファウルで速攻の芽を摘むなど、ディフェンス面での貢献も目立った。『3&D』として完璧と言えるパフォーマンスだったように映ったが、本人からは「課題が多かった」と逆の意見が返ってきた。

「ついたのは外国籍選手でしたけど、誰についても止められると思っていたのでそれは良かったと思います。ただ、良い時間帯もあったんですけど、ヴィック・ロー選手などに飛び込まれて守れていなかったところもあるので、僕の中ではまだまだかなという感じです」

堅守を軸とする琉球にとって松脇のディフェンスは勝敗を分ける大きな要素となった。当然、彼もディフェンス面で達成感を得ているかと思われたが、「桶さん(桶谷大ヘッドコーチ)にシュートを狙っていけと言われていたので決め切れて良かったです。僕の仕事だと思っていたので、シュートで仕事ができたことが一番良かったです」と、意外にもオフェンス面で貢献できたことを一番の収穫に挙げた。

リーグトップの観客動員数を誇るように、琉球を応援するファンは多い。選手のプライベートを尊重し、あえて選手と積極的にコミュニケーションを取らない選択をするファンもいるが、ファンからの声掛けがモチベーションに繋がるという選手も多い。松脇は「声をかけてもらわなければそれはそれで気楽に生きていける」と前置きをしつつも、「ファンの方にあまり声をかけてもらったりしないので、認知度はまだまだ」と言う。だが、今回のファイナルでの活躍によって、今まで以上に松脇を推すファンは増えたはず。彼が自身の認知度を自虐的に語ることはもうなさそうだ。そして、同じくセカンドユニットの中核を担ったコー・フリッピンが群馬クレインサンダーズへ移籍しただけに、松脇の存在は連覇に向けてより重要になる。キングスでの2年目、パフォーマンスとともに認知度も上昇させるに違いない。