合宿は毎日が選考「1つのミスが命取りになると考えながらプレーしています」
バスケットボール女子日本代表は5月30日、2度の国内合宿で候補選手を15人まで絞りカナダ遠征に出発した。遠征メンバーの一人である宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)は代表活動における気持ちの持ちようについて口にした。
「(Wリーグ)ファイナルが終わってからコンディションやモチベーションが上がり切れていないのが苦しいですけど、アジアカップに向けて、チームに貢献できるような良いエネルギーを早く戻していきたいです。ガードのポジションは争奪戦で、毎日が選考。1つのミスが命取りになると考えながらプレーしていると気分の浮き沈みが激しくなるし、このしんどさは(選考中は)ずっと続くのかなと思います」
宮崎はポイントガードとして2021年以降に行われた3つの国際大会(オリンピック、アジアカップ、ワールドカップ)をすべて経験した唯一の選手。しかし、宮崎は自身のポジションが確約されているとは考えていない。「若い選手がどんどん出てきていますし、大会の時に調子の良い選手が選ばれるので、コンディションを維持するのが大変です。合宿中のプレッシャーは毎回変わらないです」と、抱えている重圧について話した。
このような重圧を軽減するための処世術として、宮崎は「自分を誰とも比べない」というモットーを掲げているという。「東京オリンピックの時に、誰かと比べたり、自分ではコントロールできないことを気にしてしまうとどんどんコンディションが落ちてしまうということを経験しました。それ以来、そういうことは気にしないようにしていますし、これからもこういうことが大事になってくると思います」
24秒ギリギリまで点を取りに行くスタイルを徹底「相手はすごく嫌だと思う」
昨年のワールドカップの惨敗を受け、恩塚亨ヘッドコーチはプレーやコミュニケーションを円滑にするための様々なテコ入れを図りながらチームの強化を進めている。
宮崎はチームの変化について以下のように説明する。「ガードが切っていって3ポイントシュートを決めるというスタイルは去年までと変わらないですが、対戦相手はそれを読んでくるので、レイアップに相手のブロックが飛んできたら他の選手が合わせて、次の展開を作ることを大切にしています。選手たちも恩塚さんの言うことを理解して、最後の最後、24秒ギリギリまで点を取り行くようになったし、そこは今後の強みなんじゃないかなと。私自身、そういうスタイルでやっていて楽しいですし、ここまで日本が粘ったら相手はすごく嫌なんじゃないかなと思います」
チームの完成度については「まだまだなんじゃないか」と答えるも、「ワールドカップや1次合宿の時よりも前に進めていると思うし、やればやるほどコミュニケーションを取って成長できるチームになってきています」と、チームの風通しの良さと今後の伸びしろを期待させるコメントを発した。
前人未到の大会5連覇を達成した前回のアジアカップ決勝で宮崎は26得点7リバウンド11アシスト2スティールという素晴らしいスタッツを挙げ、強敵の中国を打ち破る原動力として活躍した。「あれから2年経っているってことに驚いていますし、今も代表にい続けている自分を褒めたいと思います」と笑った宮崎はアジアカップに向けてこう続けた。「対戦国がどれだけ私のことをスカウティングしてくるかは分からないですけど、アジアでは私のスピードが生きると思うので、楽しみです。そして、前回と同じような活躍ができたらうれしいです」
宮崎が前回大会のようなハイパフォーマンスを見せることができれば、アジアカップ6連覇の可能性は高まるはずだ。