ケビン・デュラント

「悔しいけど、またコートに通い詰めて次に向けた準備をするしかない」

サンズのプレーオフはセカンドラウンドで終わった。負ければ終わりのナゲッツとの第6戦、前半を終えて30点のビハインド。昨シーズンもセカンドラウンドでマブスに敗れ、最後のゲームのハーフタイムを30点差で迎えていたのは皮肉な偶然だ。

ヘッドコーチのモンティ・ウィリアムズは「1年で最も大事な試合で、チームに戦う準備ができていなかった。それは私の責任だと思っている」と語った。

優勝候補の一角に挙げられていただけに、ここでの敗退に誰もが暗い表情をしていた。デビン・ブッカーは会見場に現れることなくアリーナを後にした。サンズがドアマットチームだった時代から、常に『チームの顔』として悔しい敗戦の後もファンに向けて言葉を発してきた彼には非常に珍しいことだ。指揮官ウィリアムズはブッカーについて「何の報告も受けていないが、いつもの軽快さがなかった。痛みを抱えてプレーしていたんだと思う。弱音を吐かないタフなヤツなんだ」と擁護している。

そのブッカーに代わりチームを代表して多くの質問に答えたのはケビン・デュラントだった。シーズン途中にネッツから加入し、そのトレードでサンズに決して小さくない代償を支払わせただけに、彼にはチームを勝たせる義務があった。彼自身、その重責を引き受ける覚悟があったこそ、敗退の責任を重く受け止めていた。

30点差でハーフタイムを迎えた時、そして勝利をあきらめて主力をベンチに戻す時、フットプリント・センターには失望したサンズファンからのブーイングが響いた。デュラントは「気分は最悪だったし、それ以上に恥ずかしかった」と振り返る。

メディアの質問は、敗れたこと自体よりも、その先に何が起こるかに集中した。デュラントは優勝を求めてウォリアーズ、ネッツ、サンズと移籍を繰り返している。今年2月に加入して、サンズに失望して再び移籍を選ぶのではないか、という疑念が人々の頭にはあった。

それでもデュラントの考えは明確だった。「ちゃんと準備したつもりだったし、自分の思うようなシュートを打ったつもりだけど、決まらなかった。それはすべて僕の責任だ。だからこの夏は映像を見て、シーズンを通して自分がやったプレーを確認し、改善策を考える」と彼は言う。

「僕はすべてを受け入れて前進するつもりだ。このチームに来て、チームメートを知る機会を持ち、フェニックスで日々を過ごし、モンティコーチの下でプレーし、ここのスタッフと一緒に働いてきた。それは素晴らしい経験だ。僕らはそれぞれ、互いをもっと理解しなければならない」

サンズにトレードで加入した直後にケガをして、ただでさえ短いチームへの順応期間がさらに短縮された。チームとしてまとまり、連携を作り上げる時間が足りなかったのではないか──。そう質問されるとデュラントは「何を言っても言い訳にしかならない。来シーズンにもっと上手くやるしかない」と答えた。

「このチームがどうなっていくか、今は予想するのが難しい。でも、良い基盤はできたと思うから、ここから学んで良くしていく。オフシーズンが進むにつれて、それは少しずつ見えてくるだろう。悔しいけど、またコートに通い詰めて次に向けた準備をするしかない。それは本当に大事なこと。僕は自分の技術を磨くのを止めない。プレーヤーとしての成長と向上を続けるのが僕の仕事なんだ」