文・写真=鈴木栄一

『ナベタイム発動』、栃木ブレックスが逃げ切り価値ある連勝

12月25日、栃木ブレックスが本拠地で横浜ビー・コルセアーズと対戦した。渡邉裕規が3ポイントシュート9本中6本成功の23得点6アシストの活躍でチームを牽引し、84-69で前日に続き勝利を収めた。これで栃木は通算成績を20勝5敗とし、アルバルク東京と同成績ながら当該クラブ同士の対戦による得失点差により東地区の首位に立っている。

前日は横浜の粘りに遭い、76-71と接戦の末の勝利だったが、この日の栃木は第1クォーターに見事なディフェンスでリズムをつかみ19-10とリード。そして第2クォーターも高確率でシュートを沈め、前半で47-25と大量リードを奪う。

後半に入ると、横浜もこの日22得点を挙げた川村卓也の活躍などで追い上げ、第4クォーター残り約7分半には12点差にまで差を縮める。しかし、栃木はここからの約2分で渡邊が3ポイントシュートを2本、バスケット・カウントの3点プレーと一気に9得点を挙げ、残り約5分半で再びリードを19点にまで広げて逃げ切った。

2016年のホーム最終戦を連勝で終えた栃木のトーマス・ウィスマンヘッドコーチだが、「リードした後、いかにそれを保っていくのか、改善していかなければいけない。前半は25失点、相手のシュート確率を36%に抑えたが、後半は44失点、シュート確率は63%と、違うチームになってしまった。チャンピオンになるためには、あってはならないこと」と、まずは後半に守備が崩れたことへの反省を述べている。

ただ、その後は「厳しいコメントを言ったが、連勝で今週末を終えられたことはよかった。また、試合序盤でリードをしっかり作れることは良い要素。そして渡邉が昨日の悪いプレーから立ち直りステップアップしてくれた。(田臥)勇太が17得点5アシスト、ターンオーバーなし、ライアン(ロシター)が20得点22リバウンドと、リーダーたちがしっかり活躍してくれました」と、勝利の立役者となった主力選手のパフォーマンスを称えた。

今回、ウィスマンヘッドコーチが、後半に追い上げられたことへの反省を真っ先に述べたのは、やはり前節の京都ハンナリーズ戦で、第3クォーターを終え18点をリードしていながら、第4クォーターになって一気に崩れ、70-72と痛恨の逆転負けを喫した試合があったからだろう。

本日、シーズンハイの23得点と大暴れだった渡邉も、「先週の敗戦を受け、今週の頭の練習では逆転負けの映像を見て、自分たちがいかに油断をして試合をしていたのか、戒めのVTRを見て練習をスタートしました」と語る。

それだけに「今年最後のホームゲームで連勝できたのは良かったですが、差を縮められる場面があったので反省しなければいけない」と、京都戦の失速を二度と繰り返さないためにも、局面での甘さをなくし、40分間集中力をきらさずにプレーしなければいけないと強調していた。

決勝で三河に完敗を喫した去年、リベンジに燃える栃木

大晦日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦を終えると、栃木はオールジャパンに突入する。この大会について渡邉はこう語る。

「これまではオン・ザ・コートのルールが帰化選手+外国枠1名で、帰化選手や(竹内)公輔さんがいたりするチームに有利な面がありました。今回からは、Bリーグ同士の対戦においてはリーグ戦と同じルールとなり、その点でアドバンテージがなくなります」

「順当にいくとベスト8では千葉か新潟と対戦します。千葉にはレギュラーシーズンで負けており、新潟とはまだ対戦したことがないので未知の部分があります。レギュラーシーズンでのパフォーマンスがそのままオールジャパンに出ると思うので、その意味でも年内最後の試合は重要です」

そして「去年は決勝に行きましたが、決勝では接戦にすらならなかった。メンバー的に見てもウチは優勝候補だと思いますが、どこが勝ってもおかしくないレベルの高さだと思います。去年の雪辱を果たせるように個人としてもチームとしても油断せずに優勝を目指してやっていきたいと思います」と、気を引き締めた。

一発勝負のオールジャパンは、いかに試合序盤から流れに乗れるかが、レギュラーシーズンの試合以上に重要となってくる。それだけにベンチスタートから短時間で得点を量産する渡邉の『ナベタイム』が今日の試合のように発動するかどうかが、優勝を目指す栃木にとって重要なポイントとなってきそうだ。