レイカーズと契約して『老害』と罵ったレブロンと組む可能性も!?
『The Athletic』によれば、グリズリーズはディロン・ブルックスに新たな契約を提示するつもりがないと通告した。ブルックスのエージェントは「事実ではない」と、この記事を書いたシャムズ・シャラニア記者を名指しで非難したが、グリズリーズの沈黙は記事が概ね間違っていないことを意味する。
ブルックスはキャリア6年目を終えた27歳。今シーズンのチームでは一番の古株で、マイク・コンリーとマルク・ガソルの時代を経験し、チームの再建とともに成長してきた選手だ。2巡目45位指名からの叩き上げ、質の高い『3&D』だが、チームが強くなるにつれて華やかな役割は若いチームメートに任せ、タフに戦う『汚れ役』を買って出るようになった。激しく相手を削るプレーで議論を巻き起こすこともしばしば。
そのブルックスは今シーズンのプレーオフでレブロン・ジェームズに食って掛かった。
レイカーズとのファーストラウンド途中に突然「老害」とレブロンを批判。誰もが『生きる伝説』と認めるレブロンに噛み付き、そして敗れ去ったことで批判と嘲笑の的になった。その上でグリズリーズの構想から外されるのは、彼にとって非常に厳しいシチュエーションだ。
しかし、スティーブン・アダムスの欠場でチーム最年長がブルックスという若いグリズリーズが、レブロンを擁するレイカーズの実績に臆してしまっては勝ち目がない。ブルックスがレブロンに噛み付いたやり方が正しかったかどうかは別に、何らかの形で『仕掛ける』ことは必要だったはずだ。
それでも結果としてグリズリーズはファーストラウンドで敗退し、ブルックスはメンフィスを離れることになる。来シーズンからはジャ・モラントのマックス額での新契約がスタートし、グリズリーズはどこかでサラリーを切り詰める必要があり、アダムスを除けば最年長のブルックスに他の若手ほどの伸びしろは見込めないという判断があったのだろう。
『ESPN』は以前、ブルックスは年俸2500万ドル(約33億円)の2年ないしは3年契約を希望していると報じている。グリズリーズとの契約延長が叶わなかった時点で、ブルックスはこの要求を引き下げることになりそうだが、高望みをしなければ彼を欲しがるチームは多いはずだ。
『汚れ仕事』のできる選手は、他チームからは嫌われてもチームメートからは信頼されるものだ。彼の激しさはテクニカルファウルに繋がり試合を荒れさせるが、ウイングスパンも身体能力も特筆すべきものがないにもかかわらず、IQとハードワークで相手のエースを封じ込める能力はNBAオールディフェンシブチームに選ばれるレベルにある。
高額契約では躊躇するにせよ、『適正な価格』であればフリーエージェントとなる彼は引く手あまた。彼の獲得に動くであろうチームの噂は数多く出ている。
その一つがヒートで、ハードワークのカルチャーはブルックスのプレースタイルにぴったりだし、ジミー・バトラーと並ぶウイングディフェンスは強力そのもの。またベンチに問題を抱えているサンズやウォリアーズも、プレーオフの結果がどうなるにせよオフェンスよりもディフェンスで仕事のできる選手の補強に動くはずだ。ロケッツやピストンズの再建クラブであればサラリーキャップに余裕があり、若いタレントに戦う姿勢を見せるリーダーとして、彼が納得できる契約を提示できるかもしれない。
一つの可能性として面白いのは、レイカーズと契約してレブロン・ジェームズのチームメートになることだ。『昨日の敵は今日の友』はスポーツの世界ではよくあること。昨年オフのレイカーズは、長らくライバルのクリッパーズでプレーしてきたパトリック・ベバリーを獲得している。レブロンもランス・スティーブンソンと一緒にプレーできるのだから、勝つために必要となればブルックスも受け入れるはずだ。
批判の集中砲火を浴びてはいるが、プレーするチームを選べる立場にある。ブルックスは長く過酷なシーズンで疲れた心身を癒しながら、フリーエージェント市場がオープンするのを待っているはずだ。