クリス・ポール

カンファレンスセミファイナル第2戦で左の鼠径部をケガ

クリス・ポールはナゲッツとのカンファレンスセミファイナル第2戦途中に左の鼠径部を痛めた。第3クォーター途中、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープとリバウンドを争った際にケガをして、そのままロッカールームへと下がることに。この時点ではサンズが4点リードしていたが、司令塔不在のチームは第4クォーターに14-27と失速して逆転負けを喫している。

検査の結果は、1週間後に再評価。ホームでの第3戦は欠場が決まった。第4戦以降の出場も危ぶまれている。

37歳のクリス・ポールは身体能力こそさすがに衰えが見え始めているが、彼の本領はスキルとバスケIQ、リーダーシップという年齢により衰えない能力にあり、それは特にプレーオフになると効力を発揮する。ただ、そのプレーオフで毎回のように彼はケガに見舞われる。

クリス・ポールにとってプレーオフは、ケガとの戦いの歴史だ。最も印象的なのはロケッツに在籍していた2018-19シーズン。ジェームズ・ハーデンと彼のデュオは『王者』ウォリアーズを崖っぷちまで追い詰めたが、そこでポールがハムストリングを痛めて戦線離脱。途端にチームは失速し、ウォリアーズに敗れた。ポールはサンダーで復活を遂げ、翌2020-21シーズンからサンズに加入。ここでもレブロン・ジェームズのレイカーズと戦った際に肩を痛めたり、健康安全プロトコル入りしたりとトラブル続きだった。2020-21シーズンにNBAファイナル進出を果たした時に涙が止まらなかったのは、ケガの不運をようやく乗り越えて初めてファイナルにたどり着いたからだ。

ただ、キャリア16年目で初めて迎えたNBAファイナルには勝てなかった。37歳の彼に残された年月はそう長くない。自らが作り上げたサンズにケビン・デュラントという強力な武器も加わって、今回も優勝を目指せる状況にあるが、ただでさえ充実した強敵ナゲッツと対峙したこの場面でまたケガに見舞われた。

2番手のポイントガードであるキャメロン・ペインも背中のケガがあって調子を崩しており、このプレーオフではほとんど出番がない状況。ポール不在の間のプレーメークは、エースの一人であるデビン・ブッカーが担うことになるだろう。

ポールがいてもブッカーへの依存度の高さ、プレータイムの長さはサンズの課題だった。第2戦の最終クォーターの失速は、その結果とも言える。第3戦に向けた修正のメインは、ナゲッツ対策ではなくポール不在の戦い方の調整になるだろう。0勝2敗でもう負けられないサンズにとっては極めて厳しい状況だ。

デュラントは「クリスの不在が痛手なのは間違いない。彼がもたらすものは非常に重要だけど、僕らはあまり考えすぎることなく、みんなで一緒に戦わなければならない」と語る。

デュラントとブッカーは強力な駒だが、クリス・ポールの円熟のプレーメークがあってこそ最大限の力を発揮できる。この逆境を跳ね返すのに必要なのは、むしろセカンドユニットの奮起だろう。ジョック・ランデールはプレータイムこそ短いが素晴らしいハッスルを見せている。デイミオン・リーとトーリー・クレッグの3ポイントシュートが決まれば、2人のエースへのマークが弱まる。ペインが2シーズン前のプレーオフでの姿を取り戻せば、数試合のポール欠場の穴をかなりカバーできる。サンズの弱点はベンチユニットと言われている。だが、ベンチも含めた総合力で戦わない限りは長く過酷なプレーオフを勝ち抜くことはできない。デュラントとブッカーに託すだけではナゲッツは超えられないだろう。

ただ、ここまでデュラントとブッカーの爆発力を上手く抑えているナゲッツは、サンズのベンチメンバーにも警戒している。ヘッドコーチのマイケル・マローンは「モンティ・ウィリアムズは史上最高のポイントガード不在の状況で、他のメンバーを引き上げてくるだろう」と語る。「ペインはもちろん、テレンス・ロスとTJ・ウォーレンがベンチからもたらす得点力にも気を付かなければいけない。ただ、最終的には我々自身に最高のバスケができるかどうかが大事で、クリス・ポールが出場するかどうかは関係ない。我々のマインドセットや目指すべきことに変わりはないんだ」

今回は中3日と十分な準備期間を置いての試合となる。サンズがこの期間を有意義に使ってホームで巻き返すか、あるいはクリス・ポール不在の状況にナゲッツが付け込んで一気にシリーズをモノにするか。第3戦に注目が集まる。