喜志永修斗

外国籍に依存する攻撃の改善へ「もっと日本人選手が得点を取らないといけないです」

富山グラウジーズは前節、ともにB2降格圏内にいる新潟アルビレックスBB戦で痛恨の連敗を喫した。しかし、B1残留のために追い抜かないといけない滋賀レイクスも連敗したことで両チームのゲーム差は1のまま。直接対決がないことで他力本番ではあるが、B1残留の可能性は残されている。

新潟との2試合、初戦はオーバータイムの末に77−89で敗北。第2戦は第4️クォーター序盤で20点の大量ビハインドを背負い、残り2分に6点差まで迫る粘りを見せたが、最終的に89-94と2試合続けて競り負けた。

富山にとって大きかったのは、初戦の第3クォーターに大黒柱のジョシュア・スミスが負傷退場し、2戦目を欠場したこと。スミス以外の外国籍選手は198cmのマイルズ・ヘソン、201cmのノヴァー・ガドソンであり、サイズのミスマッチを突かれ、新潟の外国籍選手によるインサイドアタックを止めることができなかった。

欠場したスミスは第2戦もチームに帯同しベンチで味方を鼓舞しており、高岡大輔ヘッドコーチ代行も「普通に歩けてはいます」と語るように重傷ではない模様だ。とはいえ、明日からの試合に出場できるのか、出場できてもどの程度プレーできるのかは不透明だ。残り4試合、富山にとって何よりも求められるのは、日本人選手たちがもっと得点に絡んでいくことだ。

第2戦でヘソンは34得点、ガドソンは31得点をマークしたが、他に2桁得点を挙げた選手はいなかった。また、ヘソンとガドソンの2人で計48本のフィールドゴールを放った。彼らを主体とする戦術を遂行するにしても、チーム全体(71本)の68%のシュートを2人が打つのは偏り過ぎであることは否めない。いくら2人に得点力があっても、これだけ偏っていると相手は守りやすい。実際に36得点とオフェンス爆発となった第4クォーターに限れば、チーム全体で22本のフィールドゴール試投数の内、ヘソンとガドソンは12本と約半数(55%)だった。

日本人選手のステップアップにおいて、キーマンとなるのが司令塔の喜志永修斗だ。初戦では計4本の3ポイントシュートを決め13得点6アシスト、第2戦も8得点13アシストと奮闘している。第2戦後、喜志永にオフェンスの偏りについて聞くと「もっと日本人選手が得点を取らないといけないです」と語り、なおかつ自分にその矛先を向ける。「自分もシュートの調子が戻って大学時代みたいに入るようになっています。今日は3ポイントシュートが6本中1本に終わりましたが、シュートは打ち続けなければ入らないです」

喜志永修斗

「自分たちは残留に向けて一戦、一戦、全力を出して戦っていくだけです」

2月の合流当初とは違い、実戦を重ねることでチームメートの評価も変わった。喜志永はその信頼に応えたいと続ける。「マイルズとノヴァーも、最初の頃は自分のシュートが入らないと『俺にパスを出せよ』とい言うこともありました。それが今は『打っていいよ。外れたら切り替えて次も打っていこう』と、言ってくれています。彼らも自分に自信を持ってパスをくれます」

「だからこそ、自分はもっと点に絡まないといけないですし、2人だけでなく、他の選手たちをもっと生かしてあげないといけない。今回、自分のアシスト先はマイルズ、ノヴァーに偏っていたと思うので、その点についてもうちょっとコミュニケーションを取ってやらないといけないです」

今回の連敗は富山にとって少なくないダメージとなったが、喜志永は「自分たちは勝つしかない。追い込まれた状況ですが、下を向く必要はないと思っています」と、しっかりと気持ちを切り替えている。そして、何よりも自分たちを支えてくれるファンのために残留しなければならないと強調する。「アウェーでもファンの方たちは、あんなに熱く応援してくださっています。皆さんの声で、自分たちはもっと頑張ろうと思わせてもらっています。恩返しのために、自分たちは残留に向けて一戦、一戦、全力を出して戦っていくだけです」

明日からの4試合は、これまで以上にプレッシャーがかかる。その中でも自分たちの力を発揮するためには、全員のアグレッシブな気持ちが大前提として必要だ。高岡ヘッドコーチ代行は語る。「僕たちはチャレンジャーであり、ファイターであると話しました。細かい戦術、戦略は重要ですが、土台となるマインドセットをしっかり準備してほしいと思います」

指揮官が語る準備をしっかりして、日本人選手がもっと積極的に絡むバランスの取れたオフェンスが展開できれば、自然と勝利の可能性は高まるはずだ。