「良いシーズンだったと思うからこそ、ここで負けたのはつらい」
キャバリアーズはプレーオフのファーストラウンドでニックスに1勝4敗で敗れ、シーズンを終えた。ダリアス・ガーランドやエバン・モーブリーなど主力に多くの若手を据えるチームにとっては貴重な経験になったかもしれないが、キャリア14年の大ベテランで酸いも甘いも噛み分けてきたダニー・グリーンは「ファーストラウンドで終わるぐらいならプレーオフに出られない方がマシだ。勝ち上がるつもりだったプレーオフでの早期敗退は本当につらいものだ」とコメントしている。キャブズの多くの選手が初めてこれを経験し、悔しさを噛み締めていることだろう。
ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは、「みんな傷付き、意気消沈している」と語った。「これらの経験は良い学びになる。バスケ選手として成長するために、これ以上にない貴重な教訓だ。私は選手たちに失望してはいない。負けたこと、シーズンが終わってしまったことは悔しいが、選手たちは持てる力を出し切った。この仕事をやっている限り、惨めな負けは避けては通れない。成功のためには失敗が必要で、偉大なチームはそこから生まれるんだ。最悪だが、これが必要なんだ」
昨シーズンはレギュラーシーズンにフレッシュな驚きをもたらしたが、プレーイン・トーナメントで敗退した。そして今回、昨シーズンの失敗を糧に成長したはずだったが、『経験不足』は厄介な敵だった。
それはガーランドやモーブリーに限らない。NBAキャリア6年の26歳、プレーオフに出続けているドノバン・ミッチェルも経験不足から悔しい思いを味わった。レギュラーシーズンで28.3得点を記録した彼は、ニックスとのシリーズでは23.2得点と数字を落としている。そして何よりプレーオフに出続けてはいるが、勝ったシリーズは2度だけで、プレーオフで『チームを勝たせる』というエースの役割を果たせていない。
試合後のミッチェルは、「チームメートとコーチングスタッフの一人ひとりを誇りに思うけど、ニックスに完敗を喫したのは事実だ。今回は相手を称えるしかない」と語る。
「自分がこのチームに必要な選手だったとは思っていない。だから夜も眠れないんだ。1年間ずっとね。自分で期待していた結果、チームメートが期待していた結果を出すことができなかった。僕はもっと成長しなきゃいけない。ロッカールームでそう言うと謙遜みたいに受け止められるけど、本当にそうなんだ」
ジェイレン・ブランソンは、ジミー・バトラーは、ニコラ・ヨキッチは、デビン・ブッカーは、ジョエル・エンビードはチームを勝たせた。ミッチェルはエースとして、これらの選手のような仕事をしなければならないと思っているが、ジャズからキャブズへと環境を変えた今回も、彼の望んだ結果は得られなかった。
「良いシーズンだったと思うからこそ、ここで負けたのはつらい。あと1週間ぐらいしたら、今シーズンにやってきたことは間違いじゃなかったと思えるのかもしれない。最終的に優勝できるのは1チームだけで、僕らはそこを目指している。でも、ここでニックスの方が良いプレーをして、僕らは負けた。彼らは自分たちの任務を全うしたのに、僕らにはできなかった」
キャブズに何が必要だったのか、との質問にミッチェルは答えられなかった。「僕はこのメンバーを愛しているし、一緒にプレーできて本当に良かったと思う。このチームに満足しているんだ。チームの成長は感じるけど、僕らはニックスに散々に打ち負かされた。僕は自分の仕事ができなかった。そのことにショックを受けている」
大事な試合に負けて打ちひしがれている時には、会見に出ない選手もいる。会見には出るが、決まりきったセリフだけで早々に切り上げる選手もいる。だがミッチェルは絶望しながらも言葉を選び、淡々と話し続けた。
「今回の負けは本当にキツい。新しいチームに来て、みんなに迎え入れてもらって幸せだったけど、チームを勝たせることができなかった。しばらくはゆっくり休むことにするよ。自分の中の怒りや悔しさに、時間をかけて向き合ってみる。でも人生は続くし、学ばなきゃいけない。いずれ立ち上がって、チームとしてまた新たな成長を目指すよ。きっと難しいだろうね。でも僕はこれまでも競争心を持ってやってきたし、そうやって成長してきた。それが僕にできることのすべてなんだ」