東海大

文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

第4クォーター、勝負どころでチーム一丸の大攻勢

インカレ男子準決勝の第2戦は東海大と筑波大の名門対決。第4クォーターの勝負どころで東海大が持ち味のディフェンスとリバウンドで違いを見せ、筑波大を振り切って決勝進出を決めた。

立ち上がりは確率良くシュートを決めた筑波大が20-13と先行するが、先制パンチを浴びても東海大に焦りはなかった。陸川章監督は「第2クォーターを8点に抑えたように、やるべきディフェンスはできていたので、相手のシュートは入っていたけど、このまま続けていけば大丈夫だと感じていました」と振り返る。相手の勢いに後手に回る立ち上がりとなったが、指揮官が全く動じない以上、選手たちも落ち着いて自分たちのプレーを続けることができた。

東海大は自慢の堅守で第2クォーターを11-8とロースコアに持ち込んで差を詰めると、第3クォーターに26-18と盛り返す。そして、ディフェンスと並んで東海大の武器である層の厚さも発揮された。体力的にキツくなってくる第3クォーター後半、ベンチメンバーが先発と遜色ないパフォーマンスで繋ぎ、第4クォーター残り9分を切って50-48、2点リードの時点で陸川監督はメンバーをスタメンに戻して勝負に出た。

素早いパスワークでディフェンスを引きはがして笹倉怜寿が3ポイントシュートを沈めると、代わって入った寺嶋良が高い位置からのスティールに成功して速攻を決める。オフェンスリバウンドをもぎ取って組み立て直し、大倉颯太とのピック&ロールから八村阿蓮が正面からのミドルジャンパーを決める。続いて平岩玄のパワフルなアタックから八村へと預けてファウルを誘い、フリースローで得点。一気に流れを持っていくランを増田啓介が軽快なステップからのシュートで止めたが、すぐさま攻めに転じた東海大は八村のバスケット・カウントで突き放す。

八村阿蓮

「リバウンドからリズムをつかむ」八村が殊勲の働き

ここで主役となったのは八村だ。NBAドラフトの上位候補と期待される八村塁を兄に持つ阿蓮は「僕はリバウンドからリズムをつかむタイプ。リバウンドを取れると得点も伸びます」との言葉通り、平岩とともにゴール下を支配。特に勝負どころでオフェンスリバウンドを連続でもぎ取ったプレーは、混戦から勝利を手繰り寄せる決定的なものだった。

筑波大はこれで集中を保てなくなり、ディフェンスのミスが出てイージーな得点も与えるように。さらには残り2分半で増田が痛恨のファウルアウト。エース抜きで2桁のビハインドを挽回するのは難しい。山口颯斗の3ポイントシュートなど良い攻めはあったが単発に終わった。

最終スコア75-59で東海大が勝利。立ち上がりこそビハインドを背負ったものの、関東大学リーグを制した実力を存分に見せ付ける快勝となった。大倉は「相手がゾーンをしてきた時にもベンチから声が出て、手こずりはしましたけど相手に流れは渡さなかった」と、コートに立つ5人だけでなくベンチも含めたチームの勝利であることを強調する。

明日の決勝で対戦するのは専修大。陸川監督は「オフェンスで勝負するのではなく、自分たちのアイデンティティであるディフェンスで勝負したい」と意気込みを語る。

25得点13リバウンド、うちオフェンスリバウンド10と大活躍の八村も考えることは同じ。「今日と同じでディフェンスがカギになると思います。今日のプレーが上出来だとか出来すぎだとか思ってなくて、もっとできるとマジで思ってます。それだけの準備もしているつもりなので、それを明日の決勝で出したいです」と強い気持ちで明日の決勝に臨む。