「トレイ・ジョーンズに頼らなくても全員でオフェンスが作れるチーム」

4月22日、群馬クレインサンダーズはホームに千葉ジェッツを迎えた。第1クォーターに34得点を挙げてリードを築き、第3クォーターまで優位に試合を進めていたものの、最終クォーターで猛追を食らい78-80で敗戦となった。

「勝ちゲームでしたが、落としてしまいもったいない」と悔しさを滲ませた群馬の山崎稜は、この試合で14得点を記録しシーズンハイの16得点に迫る活躍を見せた。

山崎はセカンドユニットとして第1クォーター残り5分31秒でコートに立つと、持ち前のシュート力を生かし3ポイントシュートとフリースローを2本ずつ沈めて、序盤の大量得点の立役者となった。

さらに第3クォーター残り4.3秒からのセットプレーでは、マイケル・パーカーのオフボールスクリーンでマークマンを剥がすと、ゴール下に切り込みリバースレイアップに成功。ファウルも誘発してバスケット・カウントとなったこのプレーに、会場はこの試合一番の盛り上がりを見せた。山崎自身、1月22日の京都ハンナリーズ戦以来の2桁得点となったが、この要因をこのように振り返る。「得点が取れたことに関しては、チームメートが良いスクリーンをかけてくれたり、空いている時を見逃さないでパスを供給してくれたことに尽きるかなと思います」

山崎の現在の3ポイントシュート成功率は43.9%と高い確率を誇っている。水野宏太ヘッドコーチも「チームで一番シュートがうまい選手」と評しているが、山崎もチームの期待に応える姿勢を見せている。「シューターとして、シュートを打てば決める自信がありました。ただ、ここ数試合はそのチャンスがなかったり、良い形でシュートが打てていませんでした。そんな中でもシュートタッチは良かったので、今日はうまくチャンスを作れたと思います」

この試合は、エースのトレイ・ジョーンズが前節の負傷の影響で欠場となった。シーズン平均で20.3得点を記録するジョーンズの分を誰か得点しなければいけない状況だったが、「前回の千葉J戦もジョーンズ選手が欠場していたので、それと似たシチュエーションでした。あの試合も負けましたが、チームとして良い形で戦えていたので、同じような感じでやろうと思っていました」とジョーンズの欠場をネガティブにとらえ過ぎずにいたと山崎は語った。

さらに、「強みであるジョーンズ選手がいなければいないで、違う戦い方ができると感じています。今日はそれが良い形で出せたと思います。ジョーンズ選手に頼っていると思われがちですが、チームとしてパスを回して人が動いて全員でオフェンスを作れるチームです。今日はそれが噛み合ったので、そういうプレーをしていければと思っています」と続け、チームの高いポテンシャルを確信している。

リーグ首位を走る千葉Jを寸前のところまで追い詰めたものの勝利は叶わなかったが、チームにとっても山崎にとってもやるべきことを遂行すれば十分に渡り合えることを証明する試合になった。今シーズンも残り5試合となったが、群馬が最後までチームとしてステップアップして、1つでも多く勝利を残してシーズンを締め括れるよう期待したい。