盛實海翔

文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

怒涛の3ポイントシュート攻勢で流れを引き寄せる

インカレは大会6日目。男子準決勝の1試合目で、専修大と日本大が対戦した。

先行したのは日本大だった。ジャワラ・ジョゼフとシェイク・ケイタの強力インサイドを軸に、松脇圭志と杉本天昇が確率良く得点を重ねて先行する。

それでも後半、専修大のエース、盛實海翔のスイッチが入ることで試合は変わる。45-50と追いかける展開、最初の3ポイントシュートを決めた盛實は「1本目の感覚が良かったので、打てるタイミングでは打っていこう」と決めた。それまでは状況判断良く、自分に相手を引き付けてはパスでクリエイトしていたが、その感覚を若干修正。「チェックが来ていても、自分のタイミングで打てる時は迷わずに打ちました」と放った3ポイントシュートを立て続けに3本決めた。

そこからは自らのドライブあり、相手の注意を引き付けてのパスもあり、オフェンスに流れを作り出す。さらにトランジションから巡って来たオープンのチャンスも決めて、このクォーターで3ポイントシュート4本成功の大暴れとなった。

ただ、日本大も簡単には引き下がらずパワフルな攻めを見せ、ハイスコアの展開ながら互いに譲らぬ接戦となる。日本大は残り7分でケイタが、残り6分でジャワラ・ジョゼフが個人ファウル4つとなり、インサイドの強さを押し出せなくなるも、チーム一丸のプレーで綻びを見せない。残り2分15秒、杉本がファウルを受けながらミドルジャンパーをねじ込んでバスケット・カウント。このボーナススローも決めて78-81と食い下がる。

そんな接戦に終止符を打ったのは、やはり盛實だった。アブ・フィリップとのピック&ロールからのアタックで、左コーナーでフリーになっている重冨周希を見逃さずにパスを出す。トランジションの起点となる重冨だが外のシュートは苦手で、このシーンを「パスが出るとは思っていませんでした」と振り返る。それでも、「外のシュートがないと周りからも言われていて、練習はしてきました。練習でやっている通りに自分のシュートを打つことだけを考えました」という3ポイントシュートをねじ込み、84-80と突き放した。

残り時間がわずかな中、杉本の強引なアタックをきっちり止めて最後のオフェンスに転じる。盛實は今度はパスを警戒して寄せられない日本大ディフェンスの動きを読んで、同じくフィリップとのピック&ロールから今度は自分がレイアップを沈め、86-80とトドメを刺した。

盛實海翔

「我慢して、接戦に持ち込んで、勝ち切った」

盛實は23得点6アシスト、そのニックネーム通りの『セクシー』ぶりを発揮。「セクシーでしたかね?」と照れ笑いしつつも「この負けられない大会の接戦になった展開の中でも楽しんでプレーできたのは良いことだと思います」と胸を張る。

昨日の白鴎大との試合も、今日の試合も、先行されながらもチーム一丸のディフェンスで粘りに粘り、チャンスを呼び込んだ。そして勝負どころのオフェンスを楽しんだ。「1試合を通して我慢できました。それで接戦に持ち込んで勝ち切れたのは、勝ち方としてはすごく良いものだと思っています」と盛實は言う。

準決勝のもう1試合は東海大が勝利。専修大にとってはリーグ戦で2戦ともに敗れた相手となるが、明日のファイナルに向け、専修大を率いる佐々木優一監督は「乗った時にのウチは相手チームにとって怖い存在だと思います。ここまで来たら勢いはある。トーナメントの決勝まで来たら選手のモチベーションは最高なので、空回りしないことだけを気を付けて。勝負どころでディフェンスを崩さないメンタルが大事になりますが、チャンスはあると思っている」と意気込んだ。

盛實も「ここまで来たらもう一つ勝ちたい。今日のようにチーム全員で粘って粘って、自分たちのバスケットをして勝ち切りたいです。そして個人的には決勝も楽しんでプレーしたい」と言う。明日の決勝は同じく大田区総合体育館で、14時から行われる。