渡嘉敷と長岡の強力ホットラインが復活、ガード陣の激しいプレッシャーも光る

本日、Wリーグのプレーオフ、ファイナルの第2戦が行われた。昨日の第1戦に敗れ、後がなくなったENEOSサンフラワーズはともに17得点を挙げた渡嘉敷来夢、長岡萌映子によるインサイドアタックが炸裂と、自分たちの強みを存分に発揮し、74-65でトヨタ自動車アンテロープスに勝利した。これでシリーズ通算1勝1敗となり、女王の座は明日の第3戦へと持ち越された。

試合の出だし、ENEOSは第1戦で不発に終わったガード陣が強気のドライブを繰り出し、守備のズレを作り出して確率良くシュートを決める。そして、長岡がこのクォーターだけで10得点と活躍することで、20-10と先行する。だが、トヨタ自動車はこの劣勢に山本麻衣が得意の3ポイントシュート爆発。第1クォーターのみで15得点の大暴れで盛り返し、22-20とENEOSがわずかにリードして最初のクォーターを終える。

第2クォーターに入ると、トヨタ自動車は馬瓜ステファニーのアタックからシラ・ソハナ・ファトージャがうまく合わせるなど、インサイドからの得点が増える。逆にENEOSは渡嘉敷、長岡が中々シュートに行けず、オフェンスが停滞する悪い流れとなる。だが、6-19と失速した前日の第2クォーターとは違い、今日は宮崎早織、高田静とガード陣が攻守に渡って積極的なプレーを見せて応戦。36-37と互角でハーフタイムを迎える。

後半に入っても両チームともに強度の高いプレーを継続し、僅差のまま試合が進む膠着状態となる。その中で第4クォーター序盤、ENEOSはトヨタ自動車のエースである馬瓜をタフに守っていた長岡が個人4つ目となるファウルを喫し、ベンチに下げざるを得なくなる。ENEOSにとっては大きなピンチとなるが、ここで質の高いチームディフェンスを展開して馬瓜のアタックをストップ。逆に馬瓜からターンオーバーを奪っての林咲希の速攻、さらにトランジションから渡嘉敷の外角シュートと、怒涛の連続得点で61-53と突き放す。

これで流れを一気に引き寄せたENEOSは、本日15得点を挙げた高田の活躍もあってリードをキープ。そして終盤には、長岡から渡嘉敷のホットラインによる連続得点で突き放すと、残り1分38秒に長岡がダメ押しの3ポイントシュートを沈めてリードを11点に広げ、勝負を決めた。

代名詞の3ポイントシュートは不発も「何の迷いもなくプレーできていると思います」

今日のENEOSは、渡嘉敷と長岡で計34得点、さらにフリースローを21本獲得と前日の11本から大きく増加したのが大きかった。だが、一番の勝因はディフェンスで40分間を通して激しいプレッシャーをかけ続けたことに尽きる。本日、豊富な運動量を生かした粘り強いディフェンスに加え、「走りに飢えている林が走ってくれました」と渡嘉敷が称えたように、要所でファストブレイクを成功し、ENEOSの根幹である堅守速攻を体現した林は、このように試合を振り返る。

「試合中、ガード陣がずっとプレッシャーをかけてくれていたので、トヨタさんのガード陣はやりにくそうだと考えていました。その姿を見ていたので、いつかチャンスが来ると思っていて、スティールやレイアップを何回かできました。ディフェンスからのブレイクをすごく意識していました」

林個人でいうと、トヨタ自動車は林の3番ポジションにサイズのある宮下希保を起用したり、スイッチで馬瓜を林と対峙させるなど、サイズのミスマッチを付いてくるオフェンスを多用してきた。だが、ここで林がしっかり踏ん張って相手のポストアップを止めることで、逆にスピード生かし速攻を決めるアドバンテージへと繋がったのは試合の流れに大きな影響を与えた。林は、チームメートの助けがあってこそのプレーだと強調する。

「昨日は結構やられたので、今日は絶対にやらせないという気持ちでした。それにチームで共通理解を持ってやれたので、今日は不安なくディフェンスをできていました。自分は小さいので足を動かして、ボールを持ってない時にプレッシャーを与える。それでシュートを外してもらえる形でやりたいです」

一方、オフェンスでは林の代名詞である3ポイントシュートは3本中1本成功のみに終わり、昨日も6本すべて失敗と当たりが来ていない。だが、そこに焦りはないと林は語る。

「3ポイントシュートは今日も1本しか入らなかったですが、ディフェンスから走ることをしっかりやっていれば入ってくる。渡嘉敷さん、長岡さんが『リバウンドに入るから打って良いよ』とずっと言ってくれているので、なんの迷いもなくプレーできていると思います」

シュートは水物というが、だからこそ2試合続けて不発だった林が3試合続けて入らないことは逆に考えにくい。明日の第3戦、ディフェンスに加え代名詞の長距離砲でも林が会場を沸かせてもそこに驚きはない。そうなった時、ENEOSにとって悲願の王座奪還に大きく近づくはずだ。