「常に高いレベルのプレーができていれば順位が何位になっても大丈夫だ」
セブンティシクサーズはすでに東カンファレンス3位が確定していたが、ヒートにはプレーオフのストレートインとなる6位浮上の可能性が残されており、同時に下を見れば9位まで落ちる可能性があった。シクサーズは首を痛めているタイリース・マクシー以外はベストメンバーで臨んだが、1試合に懸ける重みの違うヒートは必死にプレーする。第1クォーター終盤にジミー・バトラーを中心とする猛攻で10点差を付けると、そのリードを最後まで保ち129-101の完勝を収めた。
ヒートはこれで3連勝。シーズン終盤でどの選手もコンディションは万全ではないだろうが、ボールに食らい付く迫力があり、なおかつチームオフェンスも機能している。特にバトラーとバム・アデバヨ、一緒にプレーして4年目となる2人のツーメンゲームは威力抜群で、バトラーは24得点6アシストを記録。タイラー・ヒーローも好調をキープしており、こちらも24得点5アシストと結果を残している。
何よりもチームで39アシストを記録し、ターンオーバーはわずか10という効率の良さが際立つ。シーズンを通してほとんどの時期で確率が上がらず苦しんだ3ポイントシュートがこのところ好調で、この試合でも39本中18本が成功(46.2%)している。
どのチームのコーチも、総じてディフェンスの重要さを強調するものだが、ヒートを率いるエリック・スポールストラは「我々のゲームはオフェンスをベースとして成り立っている」と言い切る。「ウチは攻撃的なチームだ。ペイントエリアではこれまでも強みを発揮してきたが、この16試合か17試合は3ポイントシュートがすごく良くなり、我々が思い描いていたバスケができるようになっている」
このチームの3ポイントシュートを牽引しているのは1試合平均8.1本を打っているタイラー・ヒーローであり、それに続くのが7.1本のマックス・ストゥルースだ。ストゥルースはこの3試合で先発に抜擢され、3ポイントシュートを25本中12本を決めてチームの3連勝に貢献している。シーズン途中に加わったベテランのケビン・ラブはパワーフォワードの先発から外れたが、ベンチから2番手のセンターとして出場した方がフィットするようだ。この起用法がハマっているのも、シーズン最終盤にヒートに勢いのある要因となっている。
残るはウィザーズ、マジックとの2試合。ヒートは順位表の下を見るのではなく、6位ネッツだけを見据えている。残り試合数を考えると逆転の可能性は限りなく低いが、ヒーローは自分たちのメンタリティをこう語っている。
「ウチには素晴らしいメンバーが揃っていているけど、安定して力を発揮できるかどうかがカギなのは分かっている。最後の1試合まで高いエネルギーで戦って、プレーオフに向けた準備をしていくよ。長いシーズンでは山あり谷ありだけど、プレーオフが迫った今、僕らは素晴らしいチャンスを前にしている。正直に言えば、常に高いレベルのプレーができていれば順位が何位になっても大丈夫だ。僕らには可能性がある。どんな相手でも、どんな状況でもやれると信じているよ」