「チームに戻ってみんなと一緒にいられるのは素晴らしいこと」
2021年のNBAドラフト全体11位でホーネッツに指名されたジェームズ・ブックナイトは、ルーキーだった昨シーズンにラメロ・ボールにテリー・ロジアーという層の厚いガード陣の中でプレータイムを得られず、実力を発揮できないままに終わった。そして2年目となる今シーズンの開幕直前には飲酒運転で逮捕され、保釈金を支払ってチームに戻って来ている。
開幕からプレーすることはできたが、コートに集中できない状況でチーム内での信頼を勝ち取れず、開幕から1カ月が経過したあたりからプレータイムを減らすことに。今年に入ってからはローテーションから完全に外れ、2月末にラメロがケガでシーズン全休になった後もGリーグでのプレーを続けていた。
ようやく彼がホーネッツに呼び戻されたのは先週末のこと。その前のGリーグの試合でキャリアハイとなる44得点を挙げており、それが良いアピールになったのかもしれない。ホーネッツはすでにプレーオフ戦線から脱落し、残り試合を消化するだけの状況ではあるが、待ちに待ったチャンスを与えられたことで彼の士気は高い。現地3月24日のマーベリックス戦ではほんの数秒の出場だったが、それでも2カ月ぶりにNBAのコートに立てたことには意味がある。
2日後、ダラスからシャーロットへと場所を移してのマブス戦では10分間プレーし、5得点3リバウンドを記録。スタッツが目立つわけではないが、鋭いドライブからダブルクラッチでのフィニッシュを沈め、その得点能力の高さを示した。続く敵地でのサンダー戦では19分とプレータイムを伸ばし、6得点4リバウンド5アシストを記録している。
残念ながらブックナイトの能力がまだ十分に認められたわけではない。ロジアーとケリー・ウーブレイJr.が欠場して選手が足りず、人数合わせでGリーグのチームから引き上げられたのが実情だろう。それでもブックナイトは「チームに戻ってみんなと一緒にいられるのは素晴らしいことだ。毎日できるだけ安定したプレーをするよう心掛けている」と語った。
ドラフト1巡目11位は即戦力としての活躍が期待されるが、それに応えられず、コート外での事件も起こした。再建中のチームで、しかもケガ人を出してガードの層も薄くなっている状況で、ブックナイトはより重要な役割を任されていなければならない立場なのだが、その期待に応えられていない。ファンからは「期待外れ」と厳しい視線を向けられているが、チームは彼をサポートしようとしている。
ゴードン・ヘイワードはブックナイトについて「ファンにはピンと来ないかもしれないけど、チームから離れて別の場所でプレーしていて、急に呼ばれてプレーすること自体が大変なことだ。彼の努力を誇りに思うよ」と語り、デニス・スミスJr.も「みんなまだ彼の才能を見ていない。20本連続で3ポイントシュートを決められる選手だよ。Gリーグでの経験は役に立つと思うし、彼のプレーは僕らに必要だ」とコメントしている。
ブックナイトがチームに呼び戻された時点で、残るシーズンは2週間しかない。それでも先の見えない状況から抜け出し、来シーズンへと繋げるために、彼はできる限りのことをするつもりだ。「1試合1試合を大切にして、ポジティブな気持ちを持ち続けたい。まずはできるだけ安定したプレーをすること。良い夏を過ごせるよう準備するんだ」と彼は言う。