「セカンドユニットとして出て、チームにエネルギーを与え試合の流れを変える」

3月18日、群馬クレインサンダーズは川崎ブレイブサンダースに73-93と大敗を喫した。立ち上がり、群馬は0-7のランを許すと、そこから一度も追いつくことなく第3クォーター終了時点で25点の大量ビハインドを背負うなど、全く見せ場を作ることができなかった。

昨シーズン、群馬は25勝30敗とB1昇格1年目のチームとしては過去最多の勝ち星をマーク。今シーズンはさらなるステップアップを遂げ、開幕から白星を先行させてきた。だが、代表ブレーク明けとなる3月に入ると今回の負けで2勝3敗と黒星が先行。さらに、55-81で宇都宮ブレックスに敗れた15日の水曜ゲームに続く大差での敗戦と内容的にも苦しんでいる。これで今シーズンは23勝18敗、チャンピオンシップ出場の最後の枠となるワイルドカード2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとは5ゲーム差と危険水域に達している。

上位進出への正念場を迎える群馬だが、この悪い流れを変えるための起爆剤として待たれるのが若手のステップアップだ。その中で198cmのサイズと身体能力を生かしたディフェンスで出番を増やしている八村阿蓮とともに注目したいのが、司令塔の菅原暉だ。

今シーズンがプロ2年目となる菅原は、この試合でも持ち味であるテンポの良いパス回しでボールムーブを活性化させ、コートにいる5人がオフェンスに絡む土台を作っていた。今、群馬のオフェンスの中心を担っているのはトレイ・ジョーンズと並里成で、ともに個での打開力に優れている。2人が噛み合った時は、リーグトップレベルの爆発力を生み出すことができるが、この試合のように歯車が狂うと、単発のシュートで終わり相手にとって守りやすくなる弊害にもなる。それだけに、2人と違う武器を持つ菅原を効果的に起用できれば、オフェンスに異なるリズムをもたらすことができ、相手にとっても対処するのが難しくなるはずだ。

「出だしから川崎さんにペースを握られてしまって、そのまま追いつけず敗戦となってしまいました」

こう試合を振り返る菅原は、自身のやるべき仕事を次のように考えている。「僕の役割はセカンドユニットとして出て、チームにエネルギーを与え試合の流れを変えることです。それがこの2試合は遂行できなくて、悔しい気持ちです。ただ、これからも試合があるので下を向かず、悪い時に流れを変えられるようになっていきたいと思います。チームには得点力の高い選手が多いので、まずは味方を生かしながら自分もしっかりシュートを狙っていきます」

今シーズン序盤、菅原は先発で起用されていたが、2023年に入ってからベンチスタートが続いている。この起用法の変化にも、着実に適応している。「先発と控えでは、一緒にプレーするメンバーが変わってくるので、最初は難しい部分もありました。その中でどういうプレーが良いのか、日頃からヘッドコーチなどとコミュニケーションを取りながらやっているので、少しずつ良くなっていると思います」

そして、群馬と言えばオフェンス力が持ち味だが、ここからの巻き返しにはディフェンスが鍵になってくると菅原は強調する。「調子に波はありますが、とにかくディフェンスにフォーカスする。守備をきっかけに自分たちの良いところが出せれば、勝ちがもっと増えていくと思います。そのためにも自分は、ディフェンスからチームに流れをもたらせる存在になっていきたいです」

今日の試合、群馬がチャンピオンシップ出場を果たすためには何としても連敗を止めないといけない。そのためには、菅原の攻守に渡る堅実なプレーが必要となってくる。