沖縄市

ホームタウン沖縄市の魅力を伝える『Enjoy Okinawa City Day』を開催

3月15日、琉球ゴールデンキングスは名古屋ダイヤモンドドルフィンズに79-74で勝利した。西地区上位の難敵相手に価値ある白星となった琉球だが、この日は競技面以外でも大きな取り組みが行われた。

この日は沖縄アリーナ株式会社が冠スポンサーとなり、『Enjoy Okinawa City Day』という取り組みを実施。沖縄市料理飲食業組合やコザ商店街連合会の協力を経て、ホームタウン沖縄市の魅力を伝えることをコンセプトにしたいろいろな催しを実施した。今更ではあるが、 沖縄アリーナ株式会社は琉球のホームアリーナである沖縄アリーナの指定管理者で、琉球のグループ会社という関係だ。

地域密着を何よりも重要視する琉球において、地元の人たちと一緒に取り組む活動は当然のように大きな意味を持っている。今回に限らずマスコットのゴーディーによる子供たちへのあいさつ運動、地元小学校へのスタディードリル、中学校へのバスケットボールへの提供。選手たちも参加してのゴミ拾い運動など、普段からさまざまな形で地域貢献活動を行なっている。

その中でこの試合では、平日のナイトゲームという難しい状況にも関わらず観客数が8000人を超えた。鉄道のターミナル駅のように日常生活で大人数が集まるスポットがない沖縄において、一度にこれだけの人数が集まることは稀だ。この貴重な機会に琉球を通して沖縄市の魅力の一端を多くの人にアピールできたことは、試合に勝つのと同等、もしくはそれ以上の価値となる。

『Enjoy Okinawa City Day』における主なイベントは2つあった。まずは沖縄市料理飲食業組合とコラボし、アリーナに隣接した芝生エリアに様々なフードトラックが出店する『沖アリ夜市』を実施。『ステーキの街』を宣言する沖縄市の特色を生かした肉料理に加え、ピザなど多種多様なフードがそれぞれ香ばしい匂いを漂わせ、それぞれのフードトラックで行列ができていた。また、フードトラックに囲まれた中央部では沖縄の伝統舞踊であるエイサーも披露され、さながら地域のお祭りのような賑わいだった。

當山康司会長

「横の繋がりが広がり、キングスを通して情報共有ができるようになっています」

沖縄市料理飲食業組合の當山康司会長は、今回のイベントの意義を語る。「沖縄市は他の地域と比べても独特の文化を持っていますが、それは食についても同じで『コザ食』と言われています。これをまとめて提供できるのは良いアピールとなりますし、お客さんもいろいろな料理を食べられると喜んでくれています」

そして、コザ商店街連合会と共に取り組んでいる、琉球を応援する店舗の集まり『キングス商店街』のPRブースをアリーナ内のコンコースに掲出。また、同商店街のプロデュースによって制作した沖縄市の伝統工芸品である知花花織と琉球のコラボによる特製の『キングス帯』の展示やチームグッズなどが当たる抽選会を行い、こちらも長蛇の列ができていた。

コザ商店街連合会の親川雅矢事務局長によると、最初は10店舗くらいでスタートしたキングス商店街だが、現在は40店舗以上と着実に増加している。そこには、地域密着のスポーツチームである琉球が持つ吸引力がある。

「元々は『キングスをみんなで応援しよう!!』が一番の目的でした。キングスをテーマにすることで、たとえば飲食だけとか業種で分類されずさまざまなお店が集まりました。キングスを理由にして『統一して企画をやろうよ』って言うと、皆さんも協力してくれやすいところはあると実感します。そして仲間が増えることで元々、薄かった店舗同士の横の繋がりが広がりました。これは思わぬ副産物で、キングスを通していろいろな情報共有ができるようになっています」

當山康司会長

「アリーナを中心とした街作りをみんなで協力してやっていく機運が高まっています」

琉球は最新の設備と演出を備えた沖縄アリーナで上質の観戦体験を提供することでリーグ随一の観客数を集め、リーグ随一のチケット収入を得ている。これは沖縄アリーナがチームにもたらす大きな恩恵ではあるが、琉球がアリーナ誕生で得られたのは収益力のアップだけではなく、チームもそれだけを意識していない。

アリーナでは琉球の試合に加え、人気アーティストのコンサートなどいろいろなイベントを行われている。そこで多くの人々を集め、これまでにない人の流れをアリーナ周辺に生み出している。當山会長、親川事務局長ともに沖縄アリーナでイベントがある時は、その前後で市内のお店に多くの人々が訪れるようになったと口を揃えており、アリーナによる経済効果は目に見える形で表れている。

こうして沖縄アリーナの存在、持っている発信力が地元コミュニティーに浸透していくことで、沖縄市の人々にもアリーナをどんどん活用していこうという機運が高まっている。當山会長は語る。「アリーナが完成し、よりみんなで足並みを揃えよう。アリーナを中心とした街作りをみんなで協力してやっていく機運が高まっています」

親川事務局長は、沖縄アリーナの存在はキングスとの距離を近づけてくれたと振り返る。「これまでもキングスさんとの繋がりはありましたが、沖縄アリーナが誕生したからこそよりキングスさんとの関係が深くなったと思います。もし、アリーナがなかったら今は、どういう距離感だったのかっていうのは分からない。それくらいアリーナは、キングスさんとの関係を近づけた存在になったと感じています」

そして、沖縄アリーナの効果で地元商店街がより活性化していけると期待を込めて語る。「コザ商店街は元々、観光客の人たちではなく地元のお客さん向けに商売をしている方たちが多かったです。そこにキングスさんの協力を受け、沖縄市外、県外に海外とプラスアルファのお客さんが入る可能性があるのはとても助かっています」

このように沖縄アリーナが、地元社会の繋がりを促進する1つのシンボルとなっていくことは、琉球の活動理念かつ存在意義である『沖縄をもっと元気に!!』に直結する重要事項である。だからこそ琉球は、今回のように地元の人々を巻き込んだイベントに力を入れている。『Enjoy Okinawa City Day』は、琉球にとって自分たちのアイデンティを示すために不可欠な取り組みだ。