ブルックス「ドレイモンドは卑劣な選手なんだ」
ディロン・ブルックスとドレイモンド・グリーンは『宿敵』となった。ウォリアーズとグリズリーズは昨シーズンのカンファレンスセミファイナルで対戦。この時は第3戦でジャ・モラントがケガをしたのが決め手となり、グリズリーズが敗れている。だが、その前のシーズンにはプレーイン・トーナメントでグリズリーズが勝利し、プレーオフへと進んだ。
今シーズン、レギュラーシーズンの対戦ではウォリアーズが2連勝していたが、現地3月9日の対戦ではモラント抜きでもグリズリーズが131-110の快勝を収めた。
この試合を盛り上げたのが、冒頭で名前を挙げた2人のコート内外でのぶつかり合いだ。発端はブルックスが先週、ウォリアーズについて質問されて「好きではない」と話し、さらにグリーンについて「おしゃべりなヤツ」とコメントしたことだ。
トラッシュトークの応酬を好むグリーンが黙っているはずはない。彼は自身のポッドキャスト番組で、多くのタイトルを勝ち取った自分にはしゃべる権利があるとした上でブルックスを「道化」と呼び、「グリズリーズが優勝争いに加われないのは、このバカが勝利に貢献できると思っているからだ」と語った。
こうして迎えた試合で、グリズリーズは第1クォーターから48得点を奪う猛攻を仕掛け、一度もリードを譲ることのない完勝を収めた。ブルックスは14得点4リバウンド6アシストを記録。3ポイントシュートが7本中成功1本とシュートタッチが悪かったが、持ち前の激しいディフェンスで勝利に貢献した。前半終了間際には、2人が直接やり合うシーンも見られた。ウォリアーズのリスタートでの連携ミスを突いてボールを奪ったブルックスが、ペイント内に1人残ったグリーンに仕掛ける。伸びのあるドライブからブルックスがシュートを決めた後、2人はリングからこぼれたボールを挟み、胸を突き合わせてにらみ合った。
「何か言うと思ったんだけどね。言えることが何もなかったんだろう」とブルックスはこのシーンを振り返る。しかしグリーンも「テクニカルファウルを引き出そうとしたんだろうけど、そうはいかない」と答えた。
試合後のブルックスには、もちろんグリーンについての質問が飛ぶ。彼は「ドレイモンドにマイクを渡して僕のことを話し続けさせるといい。それで僕はもっと良いプレーができる」と話し、そしてポッドキャスト番組での発言について「盛り上げるために僕の名前を使ったんだから、ありがとうの一言ぐらいあるべきだ」と言い放った。
試合に敗れた以上、グリーンに話せることは多くないと思われたが、彼はブルックス以上に饒舌で「3月に勝つのは簡単なんだ。3月の勝利に何の意味があるって言うんだ?」と言う。そしてグリズリーズが自分たちのライバルだという見方を完全に否定した。
「ライバル関係というのは、勝ったり負けたりするうちに出来上がるものだ。あるチームが僕らについて『倒せる』と言い、実際は倒せない。そんな繰り返しの中でライバル関係は生まれない。僕らは4回優勝している。彼らはゼロだ。ライバルとして見ることはできないよ」
だがブルックスはウォリアーズを「倒せる」と言い、実際にそうするつもりだ。彼はグリーンとの丁々発止のやり取りを楽しんでいるが、「グリズリーズが優勝争いに加われないのは、このバカに勝利の手助けをしてもらうつもりだからだ」というコメントについては、グリズリーズの仲間たちと自分を引き離そうとする意図があったとして激怒している。
「チームメートと僕を敵対させようとするのは卑劣な行為だ。ドレイモンドは卑劣な選手なんだ」とブルックスは言う。「でも、僕は自分が彼より優れた選手だと分かっている。僕には優勝経験がないけど、優勝するのに必要な選手かどうかはいずれ分かる。むしろ、ウォリアーズは今シーズン終了後に彼をどう扱うんだろうね」
これはグリーンにとっての泣きどころだ。彼は契約最終年を迎えており、今シーズン開幕前にウォリアーズは契約延長をオファーしなかった。グリーンは多くを勝ち取ったスター選手だが、すでに33歳になっている。27歳でこれからキャリアの全盛期を迎えるブルックスに、遠慮する気持ちは毛頭ない。