高校3年間をともに戦った正智深谷のチームメートとともにFBCを楽しむ
2月26日、全国各地の高校バスケで活躍してきたスター選手たちが集まり出身地を代表してその日限りのチームで頂点を争う『FUTURE BOUND CLASSIC 2023(FBC)』が開催された。
全国から8チームが集まった中、『Team SAITAMA』は東海大学付属諏訪の中川知定真以外の選手が全員正智深谷の選手と、連携の部分でアドバンテージが取ることができていた。その中で、中川とともにセミファイナル進出の立役者となったのがルーニー慧だ。
ルーニーは、昨年に11年連続となるウインターカップ出場を果たした正智深谷で1年次から先発を務めたポイントガード。的確な状況判断と高いシュート力を兼ね備えており、昨年の6月にはU16アジア選手権大会2022に日本代表として出場した経歴を持つ。高校最後のウインターカップでは、2回戦で美濃加茂に惜しくも敗れるも、34得点9リバウンド6アシスト4スティールを記録し、高い身体能力と類まれな得点力を見せ続けた。
そんなルーニーは「いつもと同じメンバーだったので、阿吽の呼吸でプレーできました」と、3年間ともに切磋琢磨した高校時代のチームメートとの共闘を楽しみ、今大会をこう振り返った。「いつもは監督がいて、雰囲気も今回のように緩い感じではなく結構厳しい感じで練習や試合をしていたので、面白かったです。こういうイベントにはあんまり参加したことがなかったので、楽しみながらプレーすることができました」
また、3ポイントシュートや緩急を生かしたドライブなどで次々と相手ディフェンスを翻弄したルーニーは、ストリートスタイルの大会ならではの個人技の応酬にも興味が湧いたと話す。「正直言うと、ストリート系のバスケは自分に向いていないかなと思っていて、興味もあまりありませんでした。ですが、今日の試合で、アイソレーションからの1on1で得点したりして、面白さが知れました。普通のバスケも楽しいですが、違った楽しさを感じることができた大会です」
高校時代の苦難をプロになるための経験に
『高校最後の大会』と銘打たれた大会で、バスケットボールの違った楽しさに気づいたルーニー。先にも紹介した通り、3年時には日本代表での活動や、U18トップリーグなどレベルの高い環境でプレーするなど、順風満帆に見える高校生活を過ごしたようにも見えるが、本人はその活躍の裏で苦労したことがあったと話す。
「トップリーグが始まる前にケガをしてしまい、ベンチにいる試合がありました。出られない試合をベンチから見ていて、『自分は何をしているんだろう』と考え込んでしまう時もありました。1カ月ほどコートから離れていたので、復帰しても調子がすぐに戻らず、悩みながらプレーをしていた感じでした。3年の最後のウインターカップでもうまくいかなかった感覚がありますね」
外野から見れば、ウインターカップではベストなパフォーマンスを見せていた思えるルーニーだったが、本人はケガの影響に悩み、苦しんでいた。だからこそ、大学ではこの経験を生かして二の舞を踏まないことを誓う。「うまくいかなかったことも多くありましたが、そういうことも経験です。これからの大学4年間で、もし同じことが起きてしまったときにこの経験を生かして成功していきたいと思います。そういう意味でも、高校で濃い3年間を過ごせたかなと」
「進学する東海大は、プロに一番近い環境だと思っています。スタッフさんもすごいですし、先輩も同期もすごい選手が多いです。けど、自分が一番うまくなる環境だと考えて選んだからには、しっかりやり切りたいです。一番はプロ選手になる夢をかなえることなので、そこだけを考えながら頑張りたいと思います」
この先に向けてこのように意気込んだルーニーの大学4年間も、高校での3年間よりも濃く、プロに近づくための大きなステップとなることに期待したい。