ヤニス・アデトクンボ

「チームとして良い習慣を身に着けること」の大切さを説く

ジェイ・クラウダーは加わったばかりのバックスのバスケを「マシーンだ」と表現する。「全員が一つになって動いている。目的に合わせたバスケを正しく遂行できるチームで、選手一人ひとりがそのためにどうプレーすればいいかを理解している。全員が同じページにいるんだ」

現地3月1日のマジック戦に139-117と快勝し、これで16連勝。31得点7リバウンド6アシストと活躍したヤニス・アデトクンボは「ボールをたくさん動かしてシュートを決める。今日はボールムーブが良かった。ドライブからのキックアウト、オープンスリーを作り出すエキストラパスも上手く決まったのが何本もあった。今の僕たちはスピーディーで、良いバスケができていると思う」と語る。

16連勝はバックスのクラブ史上3番目の記録となる。2番目の記録は2019年の11月から12月にかけての18連勝で、古株の選手はそれを経験している。その記憶があるからこそ、彼らは油断していない。

クリス・ミドルトンは言う。「このリーグには強いチームがたくさんいて、これだけ連勝するのは並大抵のことじゃないから、『興奮していない』とか『別に大したことじゃない』とは言うべきじゃないんだろうけど、前回の方が興奮度は高かった。前回は連勝を本当にすごいことだと考え、途切れさせないよう必死だった。でも、今はそうじゃない」

アデトクンボも同調する。「まだ若いチームだったし、そういう立場になるのが初めてだったから、とにかくうれしかったよ。でも、結局のところあのシーズンには優勝できていない。18連勝は素晴らしい記録だし、いずれ子供や孫たちに伝えられるエピソードではあるけど、本当に大事なのは連勝の中でチームとして良い習慣を身に着けることなんだ。16連勝するチームであることは良い気分だけど、それだけのことさ」

マイク・ブーデンフォルツァーがヘッドコーチに就任して1年目の2018-19シーズンにバックスは60勝を挙げ、東カンファレンス1位でプレーオフへ進出。最後はラプターズに敗れたものの、カンファレンスファイナルまで勝ち進んだ。18連勝を記録したのはその翌シーズンだが、この時はカンファレンスセミファイナルでヒート相手に1勝しか挙げられず完敗を喫している。この時の教訓をアデトクンボもミドルトンも忘れてはいない。

彼らはすべての試合に勝つつもりで挑んでおり、その結果として16まで連勝を伸ばしているが、それがNBA優勝に直結しているわけではないことを理解している。アデトクンボが言うように、大事なのは「チームとして良い習慣を身に着けること」で、それは在籍の長い選手から若手へと伝えられて、チームのカルチャーになっていく。

それは冒頭でクラウダーが言った「全員が同じページにいる」ということなのだろう。