「トムさんのバスケットを全員で遂行できていると感じているのですごい楽しみです」
日本代表の強化合宿に参加している河村勇輝が会見に出席し、いよいよラスト2試合となったワールドカップ予選への意気込みを語った。ここまで10試合を戦っている日本代表だが、河村はその内の5試合に出場し、試合を重ねるごとに存在感を増してきている。
フル代表のデビュー戦は昨年7月のチャイニーズ・タイペイ戦で、14分の出場で8アシスト、5スティールを記録した。その数字が示すように当初の河村はパスや守備で目立っていたが、そこからトム・ホーバスヘッドコーチの「もっとシュートを狙ってほしい」という檄に応える形で、自らも積極的にシュートを狙っていくスタイルへとシフトチェンジしていった。
そして、昨年11月のWindow5、バーレーン戦では19分の出場で20得点、4アシスト、2スティール。カザフスタン戦では22分の出場で13得点、4アシスト、4スティールと活躍し連勝に大きく貢献した。ベンチスタートから試合の流れを日本にもたらすゲームチェンジャーとして躍動した姿は記憶に新しい。
日本は自国開催でワールドカップ出場を決めており、イラン、バーレーンと戦う今回のWindow6も結果を最優先というより、内容重視の側面もある。だが、河村は貪欲に勝利を狙っていくと強調する。そこには2試合ともホーム開催であり、日本のファンに勝利を届けたい気持ち、イランへのリベンジなどいろいろな理由がある。
「イランには前回のWindowで対戦した時と、昨年のアジアカップでともに勝つことができていないので、日本の皆さんの声援を背に絶対に勝ちたいと思います。そして、バーレーンにもしっかりと勝って通算7勝5敗とし、前回のワールドカップと同じく自力でも出場できる成績を残したという誇りをかけてこの2試合を勝っていきたいです」
河村といえば先日の天皇杯セミファイナルで、横浜BCの絶対的エースとして大暴れし、琉球ゴールデンキングスに敗れたものの45得点と圧巻のパフォーマンスを見せた。この試合以外でも得点を量産し、今シーズンのBリーグでは平均18.5得点とスコアラーとして大きな進化を遂げている。
だが、チーム全体で河村にシュートを打たせる戦略を取っている横浜BCと代表では自分の求められる役割は違うと捉えている。「代表では僕よりも得点効率が良い選手がいますし、スコアラーの選手と一緒にプレーすることが多くなります。ポイントガードとして、そういった選手の強みを生かす役割を僕が担わなければいけない。だからといってパスファーストになる訳ではないですが、得点のチャンスをクリエイトしていくことは僕の役割だと思います」
ここまで代表でも見事なプレーを披露している河村だが、イラン戦に限ると昨年8月に行われた前回の対戦ではフィールドゴール5本中1本成功の5得点、3アシスト。アジアカップでも8分35秒のプレータイムで2得点1アシストと消化不良な内容に終わっている。だが、ここまでBリーグで驚異的な進化を見せている河村なら、この2試合とは全く違ったパフォーマンスを見せてくれるはずだ。
「合宿は新しい選手が多い中でもやることは変わらず、トムさんのバスケットを全員で遂行できていると感じているのですごい楽しみです」
このように合宿の手応えを語っている河村が、日本代表でどんな驚きをバスケファンに届けてくれるのか。今から試合が待ち遠しい。