安藤周人

「今、調子が良いのを見てもらえて呼ばれたと思っています」

アルバルク東京の安藤周人は、今回のWindow6に向けた代表合宿においてトム・ホーバス体制の発足当初となる2021年11月以来となる招集を受けた。ここまで多くの選手が合宿に呼ばれているが、今夏のワールドカップ本大会へ向けてメンバーも徐々に固定化されつつある中、1年以上代表から離れていた選手が復帰するのは異例だ。これも見方を変えれば、今シーズンの安藤の活躍がそれほどに際立っていることの証拠だ。

開幕からA東京は故障者が続出しており、特に大黒柱の田中大貴が腰の負傷によって12月4日を最後に欠場が続いているのは、攻守の両方において大きなマイナスとなっている。また、司令塔のジェスティン・コブスもここ1カ月は欠場するなど、ガード陣は深刻なコマ不足となっていた。それでも、A東京がリーグ上位の成績をキープできているのは安藤がステップアップしているからに他ならない。

田中とコブスの戦線離脱を受けて、安藤はエースの自覚が強くなったという。「自分が積極的にやらないといけない、自分がチームを勝たせないといけないっていう状況になってからスイッチが入ったというか、そこから身体の状態もだいぶ良くなりました。シュートタッチの感覚もハマっています」

実際、今シーズンのリーグ戦でここまで38試合出場で平均11.9得点を挙げている安藤だが、田中の戦線離脱に加えてコブスが試合開始早々に途中退場した1月11日以降の10試合は、平均16.1得点、3ポイントシュート成功率39.5%とさらにパフォーマンスを上げている。これだけのスタッツを残せば今回、合宿に招集されたことに驚きはない。

久しぶりの代表活動となる安藤だが、そこに気負いはなく自分の持ち味を発揮するだけと語る。「今、調子が良いのを見てもらえて呼ばれたと思っています。自分ができることを代表でも発揮しないといけないですし、トムさんに求められているのはシュートだと思います。そこは躊躇せずアピールしていきたいです」

一方で予想外のこともあったという。「一番びっくりしたのは参加メンバーの年齢がかなり若くなっていることです。今までなら自分が一番年下くらいだったのが、今は中堅ポジションになっています」

ただ、自分より下の世代で伸び盛りの若手たちとの競争を安藤は好意的に捉えている。「若い選手と初めてやらせてもらって、本当に良いエネルギーの中で合宿を送れています。この先、日本を背負う選手たちと一緒にやれるっていうのは自分の成長に繋がる良い経験にもなる。切磋琢磨しながら良い練習ができています」

A東京ではハンドラーとしても存在感を増している安藤だが、代表においては最大の武器である3ポイントシュートで結果を出すことに注力する。現在、ネブラスカ大で絶好調の富永啓生に比江島慎、須田侑太郎など多くのライバルがいる2番ポジションにおいて、安藤が今までの序列をひっくり返すには、今回のWindow6で強烈なインパクトを残すしかない。彼にとっては今後の代表活動の行方を決める1週間を今、過ごしている。