ヤニス・アデトクンボ

「自分のすべての能力を上げて、チームの勝利に貢献したい」

前日のウィザーズとの試合を終えてすぐにニューオリンズからミルウォーキーへと移動し、バックスと対戦するペリカンズにとって、最初から勝ち目のない試合だったのかもしれない。ザイオン・ウイリアムソンはハムストリングを痛めて欠場が4週間に伸び、爪先のケガが治って今シーズン初出場から2試合をプレーしたブランドン・イングラムもこの試合を欠場。さらにはCJ・マッカラムも休養を取った。

ザイオンの戦線離脱から3勝10敗と絶不調のペリカンズに、バックスは容赦なく襲い掛かった。第1クォーターを37-19と圧倒、ヤニス・アデトクンボは試合開始からの8分間でフィールドゴール10本中8本成功の18得点を奪った。

ペリカンズは何とか爪跡を残そうとするが、バックスは主力を適度に休ませながらも第1クォーターに奪ったセーフティリードを維持し続ける。アデトクンボは106-88で迎えた第4クォーターにも15得点を奪い、得点を50に乗せた。

アデトクンボは30分のプレーでフィールドゴール26本中20本を決めて50得点、さらには13リバウンドと4アシストを記録。「膝のケガから復帰して4試合目だけど、まだ自分の感覚を取り戻しているところ。だからいつも以上にアグレッシブに、自分のプレーを心掛けた。その結果がこうなったんだ」と彼は言う。

得意のゴール下での得点だけでなく、3ポイントシュートは4本中3本成功で、ペリメーターからのシュートも確率良く決めた。「僕が求めるレベルに一歩近付いたのが今日のプレーだったと思う。でも、安心はしないよ。そのレベルにたどり着くには努力がもっともっと必要だ。僕は得点だけじゃなく自分のすべての能力を上げて、チームの勝利に貢献したい。まだまだ上達の余地はたくさんあると思っているんだ」

得点を50に乗せた最後のシュートは残り1分38秒で決めたもの。「数字のことは分かっていたよ。その前に3ポイントシュートが入っていたから、リバウンドを取ったら次も3ポイントシュートで行こうと決めていたんだ。いつも上手くいくわけじゃないけど、躊躇せず打てたのが良かった」とアデトクンボは笑顔で振り返る。

それでも長く一緒にプレーするクリス・ミドルトンは、アデトクンボが50得点目を決めた後にも3ポイントシュートを打つチャンスがあったのにパスを選択したことに「あそこで53得点を狙わないのは意味が分からないね」とジョークを飛ばしつつ、「これからの試合でもMVP級の活躍を期待しているよ」と今度は本気で期待を語った。

復帰後のアデトクンボは29、33、41、50と試合を重ねるごとに得点を伸ばし、リバウンドもすべて12以上を記録。そしてバックスは勝ち続けている。

アデトクンボとザイオンの直接対決が期待されたこのカードだったが、ザイオンだけでなくペリカンズの主力が欠場したために一方的な試合となった。ただ、決着を付けるのはシーズンのもっと先でいい。