全中で50得点を挙げた世代屈指のスコアリングガードが勝利の立役者に
1月7日、 Jr.ウインターカップの男女準決勝が行われ、男子では横浜ビー・コルセアーズU15が今年度の全日本中学バスケットボール大会を制した四日市メリノール学院に59-46で勝利した。
横浜U15は、第1クォーターだけで9得点と出だしからエンジン全開でチームを牽引したエースの佐藤凪を中心に、攻守の素早い切り替えから効果的に3ポイントシュートを沈めることで21-11と先手を取る。第2クォーターに入ると外のシュートの確率が落ち、さらにオフェンスリバウンドを続けて奪われるなど悪い流れになる。しかし、ここでも集中力を切らさずに粘り強いディフェンスを続け、メリノールの武器である走る展開に持ち込ませず。8点リードを主導権を握ったまま試合を折り返す。
後半に入ると再び佐藤が活躍する。得意の高速ドライブで相手ディフェンスを攻略すると、自ら得点を決めるだけでなく味方のシュートチャンスも作るなど攻撃の起点としても存在感を発揮する。また、ディフェンスではチーム全体で素早く身体を寄せることで相手のドライブを防ぎ、単発のシュートを強いる。その結果、このクォーターで相手のフィールドゴールを19本中3本に抑えリードを15点にまで広げると、第4クォーターに入っても運動量、強度ともに落ちない堅守でメリノールに反撃のきっかけを与えず逃げ切った。
この試合、佐藤は24得点9リバウンド3アシストを記録。攻守でチームを牽引した勝利の立役者は、メリノールの武器であるトランジションを封じられたことを勝因に挙げる。「昨日、苦しいゲームを2つ勝ち切って勢いに乗り、全員が勝ちたい思いを持ち続けたのがこの結果に繋がったと思います。とにかくハリーバックして速攻を止めようとチームで話していました」
「世界に出たいと思っているので、日本一になってステップアップしていきたいです」
佐藤は世代を代表するスコアリングガードとして知られており、横浜市立大道で出場した全中では決勝トーナメント1回戦で50得点を挙げたことで大きな注目を集めた。「今日だけでなくいつも『自分が決めてやる』という気持ちを持ってやっています。そこは普段と変わらない気持ちでプレーしていました」
佐藤はこのように得点への強い拘りを語るが、一人よがりのプレーをする選手ではない。「全中もあって自分が得点を取りにくることはどのチームも分かっています。アシストだとか、自分が囮になって味方を生かすプレーができるようになったと思います」
また、「ドライブが武器ですが、それだけでは守られてしまうので外のシュートを磨いてきました。今日はそれが出せて良かったです」と語るように、序盤から3ポイントシュートを積極的に放ち、相手の意識を外に向かせた上で後半には積極的にドライブを仕掛けるクレバーさも持ち合わせている。
佐藤の在籍する大道中といえば、田臥勇太の出身校としても有名だ。「世界に出たいと思っているので、この大会で日本一になってステップアップしていきたいです」と、偉大な先輩を意識している。そして目指す選手像として、横浜BCで活躍する河村勇輝を挙げる。
「トップチームには河村選手という良いお手本がいます。スコアファーストで、相手を引き付けてパスを出していく自分とはスタイルがちょっと違いますが、河村選手がパスで上手でなおかつ得点も取れます。自分も得点とパスを両方できる選手になりたいです」
本人が語るようにタイプは違うが、試合に及ばす影響力に関していえば今日の佐藤は河村と遜色ないものだった。明日の決勝でも佐藤が今日と同じクォリティーのプレーを続けることができれば、彼が望む結果は自然とついてくるはずだ。