デビン・ブッカー

不祥事を起こしてチーム売却に動くオーナーの『権限』が問題に?

新型コロナウイルスのパンデミックの中で再開された『バブル』での2019-20シーズン終盤戦で、サンズはドアマットチームからの脱却を遂げた。プレーイン・トーナメント進出には届かなかったが8連勝でシーズンを終え、ここで自信を付けたチームにクリス・ポールが加わったことで、サンズは優勝を本気で狙えるまでにステップアップした。

クリス・ポールにデビン・ブッカー、ミカル・ブリッジズとディアンドレ・エイトン、シックスマンのキャメロン・ペイン。チームの主力は変わらず現在に至っているが、今シーズンはと言えば20勝19敗と中位に留まっている。6勝1敗と開幕ダッシュに成功し、11月後半にも6連勝があり出だしは好調だったのだが、その後は勢いを失い、特にブッカーをケガで欠く直近は1勝7敗で貯金を吐き出している。

現在は大混戦の西カンファレンスでサンズは8位に付けている。プレーオフのファーストラウンドをホームで開催できる4位との差はわずか2ゲームだが、プレーイン・トーナメントも逃す10位との差も2ゲームしかない。鼠径部を痛めているブッカーの復帰にはまだ1カ月近くかかりそうで、上を見るよりも下の心配の方が大きい。現在はキャメロン・ジョンソンも戦線離脱中。ブッカーだけでなくチーム全体でコンディションが整わないことが苦戦の要因となっている。

こんな状況だけに、今シーズン始動時点でトレードを要求したジェイ・クラウダーの不在はより重くチームにのしかかってくる。サンズはトレード要求を受け入れたものの、今に至るまでトレード交渉はまとまっていない。

『ESPN』は、クラウダーのトレードが決まらない背景に、オーナーのロバート・サーバーの問題があると報じた。サーバーは人種差別的な発言、また従業員への不適切な発言や行為が明るみに出てリーグから1年間の活動停止処分を科され、これを受けてクラブ売却を進めている。

問題は彼がまだ権限を持っていることで、チーム編成はジェームズ・ジョーンズGMが行っているが、1000万ドルを超える選手のトレードや契約については、サーバーの最終的な決済が必要であり、このために補強が滞っていると『ESPN』は指摘している。

サーバーにサンズのオーナーとしての未来はない。だが、そのせいでサンズの未来も閉ざされるのは理不尽だ。クラウダーがトレード要求を取り下げてチームに戻ることはもうないだろう。それであれば、2月9日のトレードデッドラインまでに交渉をまとめ、チームに新たなエネルギーを与える戦力を加えたい。ブッカーが復帰する時点でどんなチームになっているかで、サンズのシーズン後半戦は明暗が分かれる。