ドレイモンド・グリーン

エース不在の苦しい時期を耐えるウォリアーズ、カリーは来週にも復帰の見込み

現地1月2日のウォリアーズvsホークスでは、不思議なシーンがあった。第1クォーター途中、3ポイントエリアの外でボールを保持するドレイモンド・グリーンの背後にクレイ・トンプソンが回り込み、次の瞬間にジャンプシュートを放つ。だが、試合中継の映像からはパスを出す様子が全く分からなかった。

2011年に加入したクレイと翌2012年に加わったグリーンはいずれもウォリアーズ一筋で、一緒にプレーするのは11年目となる。彼らが支えるウォリアーズは3ポイントシュートを多用する革新的な戦術で4度のNBA優勝を勝ち取り『王朝』を築き上げた。

他のどのチームにも負けない連携が彼らにはあるが、それにしてもこのパスがどう出されたのかは理解できない。アシストの名手と言えど、魔法は使えない。グリーンが中継のカメラに背を向け、パスを出す手元が全く映っていないのだが、手とボールはどう動いたのか。

この答えを、NBAは公式SNSを用いて明かしている。「すまないドレイモンド、マジシャンが種明かしを嫌うのは分かっているんだけど……」というコメントとともに投稿された動画には、試合中継では使われなかった、グリーンのプレーを正面から収めた映像が使われている。グリーンはスクリーナーの自分の背後を通るクレイに絶妙なタイミングでパスを送っていたのだ。

これに対して「これでも十分に魔法だった!」、「見たくなかった、分からないから面白かったのに」など意見は分かれたが、いずれにしてもグリーンとクレイの息の合った連携があらためてクローズアップされることになった。

なお、試合はウォリアーズがダブルオーバータイムの激闘を制してホークスを撃破。グリーンは11アシストを記録し、クレイは3ポイントシュート10本成功を含む54得点の大暴れだった。

もっとも、最近のウォリアーズの好調こそが、クレイとグリーンによる現在進行形の『魔法』なのかもしれない。アンドリュー・ウィギンズは12月上旬から、そしてステフィン・カリーは12月中旬からケガで戦線離脱中。特にエースのカリーは今シーズン平均30.0得点と絶好調のパフォーマンスでオフェンスを引っ張っており、その孤軍奮闘があってもチームは14勝15敗と勝てていなかっただけに、彼の離脱でチームは失速し、このままプレーオフ戦線から脱落するのではとの不安もあった。

ところがエース不在の状況でウォリアーズは6勝3敗と巻き返し、現在は5連勝とチームは勢いに乗っている。ウィギンズは近く復帰する予定で、カリーも来週から始まる5試合連続でロードゲームが続く遠征から戻って来れそうだ。

ウォリアーズはここまで20勝18敗。いまだ順位は西カンファレンス9位とプレーイン・トーナメント圏内で、優勝を目指す以上は4位までは浮上したいところ。それでも西地区は大混戦で、首位のナゲッツでも24勝13敗と4.5ゲーム差。カリー不在の苦しい時期を乗り越えることでチームの結束は強まり、そこに主力が戻って来るのだから、シーズン後半戦の巻き返しが期待できる。もちろん、グリーンとクレイの『魔法』にも引き続き期待したい。