アーロン・ゴードン

マレーとポーターJr.が本調子でなくても、ゴードンはチームバスケにフィット

西カンファレンスの首位に立つナゲッツですが、ジャマール・マレーとマイケル・ポーターJr.の復帰でフルメンバーが揃ったことを考えると、思ったほど圧倒的な強さを見せているわけではありません。マレーは膝、ポーターJr.は腰と厄介なケガからの復帰であり、いまだ2人のプレーを制限している様子で、特にポーターJr.はオフボールムーブでゴール下に飛び込むプレーを減らしており、高確率の3ポイントシュートに反して、2ポイントシュートの確率の悪さが目立っています。

ニコラ・ヨキッチを起点とするナゲッツにとって、オフボールムーブで効率良く得点を稼ぐのは重要なオプションですが、ここまでマレーとポーターJr.は以前のような積極的なカットプレーを見せていません。その代わりインサイドで合わせる役割はアーロン・ゴードンが一手に担い、ナゲッツの鮮やかなボールムーブにフィニッシュ役としてハマっています。

マジックにドラフト4位で指名され、類まれな身体能力による豪快なダンクが有名なゴードンですが、そのイメージに反して試合ではインサイドでのパワープレーは少なく、フィールドゴール成功率は50%を下回り続けました。身体能力は高くてもスモールフォワードとしてはスキルが足りず、特にフィニッシュに柔軟性がないためシュート成功率が悪く、4年目のシーズンに記録した平均17.6得点がキャリアハイで、マジックでエースの期待に応えられませんでした。

ですがナゲッツにトレードされてからは、ヨキッチのパスに合わせたカットプレーが増え、昨シーズンはフィールドゴール成功率は52%まで向上しました。それでもディフェンスに重きを置く役回りでシュートアテンプトが少なく、マレーやポーターJr.が戻って来ればオフェンスでは目立たない存在になると思われました。それが今シーズンはフィールドゴール成功率61%と驚くほどの向上を見せ、平均17.3得点とキャリアハイを更新する可能性も感じさせます。

ここまでペイント内が10.9、フリースローが2.9とインサイドを中心に得点を奪い、1試合平均3.2本と異様な本数のダンクを決めています。ウイングとしてコーナーまで広がるポジショニングをしながら、ヨキッチが相手センターをアウトサイドに引っ張り出すと、ゴール下に空いたスペースに秀逸なタイミングで飛び込み、ディフェンスとのコンタクトがあっても強引にダンクへと繋げるなど、スピードとパワーを併せ持ったゴードンの良さが大いに生かされています。逆にドライブはマジック時代の半分以下の1試合平均2.3回に減っており、チームメートのパスに合わせるプレーが染みついてきたといえます。

ナゲッツの3ポイントシュート成功率はリーグトップの39.4%ですが、アテンプト数は29位の30.0本と少なく、ボールムーブからゴール下を狙っていくのが特徴で、ゴードンが良いタイミングで良いポジションを取れば、確実にパスが出て来ます。マジック時代とは全く異なるオフェンスパターンを武器に、リーグトップクラスのフィニッシャーとして新境地を開いている今シーズン、さらなる飛躍が期待できそうです。